リレーコラムについて

すぐに忘れる人

伊藤恵

あっという間の一週間かもと最初のコラムで書きましたが、

本当にあっという間に金曜日になってしまいました。

 

すいません。

 

最後は、この場を借りていままでの道のりを

振り返ってみようと思います。

 

 

 

 

なんでコピーライターになりたかったのか。

 

昔から、世の中の役に立ちたい。

弱い人の助けになりたいと漠然と思っていた。

 

そのままだとかき消されてしまうような小さな声に

耳を傾けて、大きな声にして世の中の人を振り向かせたい。

 

そんなことを仕事にしたいと思っていた。

 

高校生の時、まだユニクロはいまほどメジャーなブランドではなかった。

(20年以上も前の話なので、若い人にはわからないかもしれませんが)

制服の上に着るカーディガンは安いからみんなユニクロを着ている。

でも恥ずかしいから、ブランドのタグは切っていた。

体育の着替えのときに、友達のカーディガンをチラッとみると、

あの子もあの子もタグを切っている。

そういうわたしも同じことをしていた。

 

でも、ある日から変わった。

 

これユニクロなんだ。安くていいよね。

と、いたるところで会話が盛り上がっている。

 

 

体育の着替えの景色が変わったのは、

ユニクロのCMが流れた日からだった。

 

 

極限まで研ぎ澄まされたシンプルな世界に

商品名、値段、以上。

 

 

あのCMをみた日から、

みんなの態度が明らかに変わった。

 

 

正しいことを正しいというだけでは、人は動かない。

でも、広告にはその力があると思った。

 

 

 

 

時は流れて、新社会人に。

なんとか広告会社に入れたわたしにとって、

目にするものはすべてが新鮮で、刺激に満ちあふれていた。

 

 

そして、とても忙しかった。

目の前の〆切に追われ、徹夜でコピーを考え、

プレゼンが終わったと思ったら、また次の仕事がやってくる。

おそらく皆さんも多かれ少なかれ、同じような状況なのだろうと思うが、

忙しいとつい忘れてしまう。

 

目の前の企画を通すため、

競合プレに勝つため、

賞を獲るため。

 

そのためにわたしは、コピーライターになったのか。

 

そうじゃないけど、気をつけていないとすぐ忘れてしまう。

 

 

言葉は、みんながもてる武器だと思った。

特別な機材も、莫大な資金も要らない。

紙と鉛筆でかかれた一行の言葉。

その言葉にハッとしたり、希望をもらったりする。

 

そして、みんながその力を身につければ、

世の中の小さい声は、きっと小さい声ではなくなる。

 

 

そんなことを思っていた。

 

 

でも、このコラムをかくときまで、すっかり忘れていた。

 

 

忙しいというのは、自分をごまかすのに便利な言葉だ。

目をそらしたい、考えたくないことがあるときは、なぜかいつも忙しい。

 

 

 

いま自分がしていることと、本当にやりたいこと。

 

わたしが歩いている道は、どこにつながっているのか。

 

ここから先はコラムではなく、自分の中で向き合っていこうと思う。

 

 

もしまた何かの縁で、コラムをかく機会があれば、

つづきをかこうと思います。

 

またその日まで、さようなら。

______________

 

あっという間の一週間、

お付き合いいただきありがとうございました。

バトンを次に回します。

 

 

同じ会社、東急エージェンシーのアニキ、

たむ兄こと田村友洋さんです。

 

よろしくお願いします!

 

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