リレーコラムについて

その新しさは、あたたかいか。

丸原孝紀

粗大ゴミが捨てられていてもなんとも思いませんが、本が捨てられていると、切ない気持ちがこみ上げてきます。本を読む人も減っていますし、読むとしても電子書籍で、という人が増えている中、こんな思いに駆られる私はきっと、古い人間なのでしょうね。

世の中は、これまでも変わり続けてきました。しかし、IT技術とグローバル化が進むことで、変化のスピードそのものが変わってきています。より速く、より大きく、世界が変わっていっています。急激な変化は、不安ももたらします。これから、どうなっていくのだろう。どう生きていけばよいのだろう。

多くの人たちが立ちすくむ中、感度が高いアンテナを持ち、勇気のある人たちは、先んじて思い切ったチャレンジをし、どんどん常識を変えていきます。時代が不透明になればなるほど、その動きはあざやかに映り、頼もしく思えてきます。

さまざまな分野で現れるパイオニアやチャレンジャーの中で、私はある特徴がある人たちの言動はノイズ程度に受け止めるようにしています。その特徴は、これまでの常識や考え方、生き方をしている人への敬意がないこと。さらに言うと、バカにするような態度をとること。

どんなイノベーションも、突然そこから生まれたわけではなく、これまでの蓄積や、前提があってこそ生まれるもの。過去からの積み重ねをもとに次の動きを生み出しているのですから、そこに敬意がないイノベーションは危ういように思えます。もちろん、過去の遺産が壁になっている場合は、勇気を持って突き崩していく必要がありますが。

そして、いまの常識に囚われている人たちの中にも、いろいろいると思うのです。変わりたいけど、変われない。目の前のことで精一杯。慎重に様子を見たい。そういう立場の人たちもいるでしょう。そうした人たちも含めて単純に古いだとか、勇気がないとかで切り捨てるような態度を取る人たちは、大事な何かを置き去りにしているような気がしてなりません。そこに、幸せはあるのか、と。

いままでを大事にし、これからに向かって、いろんな人といっしょに歩いていく。そんな人たちから学んでいきたいと思いますし、私もいつか、そんな仕事ができればと思っています。

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