リレーコラムについて

ともだちの木

高崎卓馬

映画をつくっているとき、監督のヴィム・ヴェンダースが聞いてきた。

 

「君には、ともだちの木はいるか?」

 

木はひとつとして同じものはない。

ひとつの場所に居て、枝をのばし、葉を揺らす。

僕たちが探している主人公の人生が、まるで木のようだと思いはじめた頃だった。

彼の日々に出来事が起きる。それはまるで風のようで、

そしてその風は光を揺らす。

それを僕たちは美しいと感じたりもする。

 

「自分にはベルリンの田舎に、古くて立派なともだちの木がいる。

とても尊敬しているんだ。こんど紹介するよ」

 

彼はいつもさらりとロマンチックな言い方をする。

ひとが皆、自分のともだちの木をもつようになったら

世界はいくぶんか優しくなる気がする。

ともだちの木。TOMODACHI TREE。

僕はこのフレーズを脚本のなかにいれた。

そしてそれを今、ひとつの絵本にしている。

 

まもなく完成する。

 

その絵本を起点に、みんながともだちの木をもつようになれば。

そんなことを考えている。

 

リレーコラムのバトンを、

尊敬する一倉さんから受け取りました。

たいしたことは書けませんがよろしくお願いします。

 

みなさんもぜひ、自分の「ともだちの木」をみつけてください。

 

高崎卓馬の過去のコラム一覧

5770 2024.10.02 批評と愛
5769 2024.10.01 再会の夜
5768 2024.09.30 ともだちの木
4578 2018.03.02 映画術
4577 2018.03.01 たとえば物語を書くとする
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年月日
名前
5770 2024.10.02 高崎卓馬 批評と愛
5769 2024.10.01 高崎卓馬 再会の夜
5768 2024.09.30 高崎卓馬 ともだちの木
5767 2024.09.28 一倉宏 博多天神 1989
5766 2024.09.27 一倉宏 代表作は「娘の名前」
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