ともだちの木
映画をつくっているとき、監督のヴィム・ヴェンダースが聞いてきた。
「君には、ともだちの木はいるか?」
木はひとつとして同じものはない。
ひとつの場所に居て、枝をのばし、葉を揺らす。
僕たちが探している主人公の人生が、まるで木のようだと思いはじめた頃だった。
彼の日々に出来事が起きる。それはまるで風のようで、
そしてその風は光を揺らす。
それを僕たちは美しいと感じたりもする。
「自分にはベルリンの田舎に、古くて立派なともだちの木がいる。
とても尊敬しているんだ。こんど紹介するよ」
彼はいつもさらりとロマンチックな言い方をする。
ひとが皆、自分のともだちの木をもつようになったら
世界はいくぶんか優しくなる気がする。
ともだちの木。TOMODACHI TREE。
僕はこのフレーズを脚本のなかにいれた。
そしてそれを今、ひとつの絵本にしている。
まもなく完成する。
その絵本を起点に、みんながともだちの木をもつようになれば。
そんなことを考えている。
リレーコラムのバトンを、
尊敬する一倉さんから受け取りました。
たいしたことは書けませんがよろしくお願いします。
みなさんもぜひ、自分の「ともだちの木」をみつけてください。