リレーコラムについて

なぜ私が、米田さんのコピーが大好きなのか

小野麻利江

米田さんからバトンをいただきました、小野と申します。

コピーライターをやりながら、

米田さんのコピーの、大大大ファンもやっています。

 

年鑑を見返したり、TCCの一次審査をしていて、

私の琴線にジャストミートするのが、

大抵、米田さんのコピーです。

 

そして、これそうじゃないか!?と察知した瞬間に、

「●●●って米田さんのお仕事ですか!?

最高すぎます!!!(以下、最高な理由を書き連ねる)」

と、何らかの手段を使って

唐突にコンタクトを取ってしまう、はた迷惑な私。

 

そんなムリヤリ結んだご縁で、今回バトンが回ってきたようです。

 

なぜ私が、米田さんのコピーが大好きなのか。

大きくは、3つあります。

(とりあえず、3つありますと書いてみましたが、

見返したら、本当に3つになりました。笑)

 

1.あたたかな接写

 

普段は聴こえないけど

空気の中に確かに存在する声を、

繊細なアミですくって、

人間へのあたたかい眼差しで

ろ過したかのようなコピーたち。

 

花が咲いている場所を

地図は教えてくれない。

フラワー・バンク

 

この国は、

歩く速さで眺める景色が

いちばん美しい。

NHK 小さな旅

 

→米田さんの眼を持っていたら、近所の道を歩く時ですら

沢山の情報が飛び込んできて大変そう…。

そんな勝手な想像と心配をしたくなるほど

高解像度なカメラで世界を見ているな、と

感動する2本です。

 

書いている子どもを見るのは、

なぜうれしいんだろう。

こども創作教室 アンビック

 

→米田さんの仕事の中には、

「子どもを見守る母親のコピー」が

けっこうあります。

丁寧な取材や深い想像力があれば、

親としての実感を、ここまで表現できるんだ…

と、子なしの私は勇気をもらっています。

 

2.そこを、まさか、そう突く!?なクール系

 

米田さんの持ち味は、

あたたかい眼差しだけじゃありません。

(お前誰だよって感じですが、

コラムが進まないので、断言させてください)

 

短い文字数のコピーになるほど、

「パンダの目、よく見ると鋭い」的な

シニカルな視点が炸裂します。

でも、その中に必ず、

クスッとしてしまう大らかさがあるのが魅力です。

 

この方向、コピーの球速がとにかく速いので、

私なんぞがモタモタ説明するのは割愛します。

 

足の速い

母を見た。

ミレニアムリテイリング(西武のバーゲン)

 

あ、旧姓に戻ってる。

梅園会(書道教室)

 

それは、鹿のエサですよ。

英語で教えてあげたかった。

安佐南区民文化センター(英会話セミナー)

 

悩め。

いつか

飽きる。

大阪きもの着付け

 

3.商品の本質が掘り出されたコピー

 

芸術家ミケランジェロは

「大理石の塊の中には

あらかじめ像が内包されているのだ。

彫刻家の仕事はそれを発見する事」

と語ったらしいです。

 

コピーライターも、

商品やブランドの本質をとことん追求し、

それをとことん磨き上げて、世の中に発する

という点で言うと、

彫刻家のような作業を日々行っているはずなのですが、

 

発見の深さ、そして最後の定着に至る磨き上げが、

米田さんはミケランジェロ級だなと感じます。

(私も頑張らないと…)

 

日曜の夕方。

私はひとりなんだと

ふと思う。

マイナビウーマン(婚活)

 

→私が20代後半の頃の、

日曜の夕方の部屋を覗き見られていたのではないか?

と錯覚するくらい、ギョッとしました。

 

女は、

愛されていることを

眺めたい。

4℃

 

→指輪には興味がない派ですが、読んだ瞬間、

深くて甘い幸せの中にいる女の人の微笑みが

ぶわっと浮かびました。

贈られて手にする指輪。その本質を、

ダイヤモンドのように不変の言葉に変えてしまっています。

個人的には、このコピーに指輪くらいの価値を感じます。

 

ひとりの体ではないのに、

孤独になるときがある。

SUN STUDIO OKAYAMA(マタニティ・ヨガ)

 

医師がいない街に

住めるほど、

人はつよくない。

京都医塾

 

死にたいと思った人は、

生きたいと思った人です。

話してください。聞く部屋

 

→人間の強さを称えるよりも

人間の弱さのそばに居ようとする、

書き手の「背骨」を感じるコピーたち。

落ち込んだ時に、落ち込みながら、心にそっとメモをして、

それを形にしているのでしょうか。

 

人生後半は、

幸せになることが

仕事です。

シニア向け分譲マンション

デュオセーヌ

 

→一生の半分近くが「第二の人生」になっていく社会。

歳を重ねるほど、身体の衰えや厄介ごとも増えていくはず。

でも絶対に、幸せに生きましょうよ。ここで。

そんな強い祈りと祝福を、

自分はここまでシンプルに強く書けるか?と圧倒されました。

 

 

なぜ大好きなのか、

自分の感覚を限りなく正確な言葉で表現しようとしたら、

ものすごく時間がかかったけど、終始楽しく書けました。

おまけにめちゃくちゃ勉強になった。

 

この題材を思いついた自分、よくやった。

そして何より、米田さん。ありがとうございます。

 

明日以降は、たぶんこんなに長く書けないと思います。

よろしくお願いいたします。

 

 

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