コピーライターの可能性。
デジタル破壊が起きている現状の観点で、
私はコピーライターという職種には
40%の宝石と
60%の地雷があると思っています。
そして、
宝石だけ残して後は捨て去るくらいの
リポジショニングが必要だと思っています。
そのくらいヤバイ変化が
現在起きつつある様に感じるのです。
「人は自分が成功したやり方で失敗する」
という名言がありますが、
これだけ変化している中では
変化は必須である気がします。
21世紀は再定義の時代だと思うのです。
しかし、
もしリポジショニングがうまくいけば、
今後激変するコミュニケーションビジネスの
企画プロセスの中であっても
コピーライターは十分、
中心になれる可能性があると思っています。
逆にリポジショニングがうまくいかなければ
デジタル解析や他の部署の概念に
ねじ伏せられてしまう可能性がある様に思います。
そんな中、
私自身がコピーライターの経験の良い部分だけを保ちながら
変化していくという観点で、
意識しているのは以下3点になります。
ズレてるかもしれませんが、
何か引っかかるポイントが少しでもあれば幸いです。
①あらゆる部署の知識や経験を柔軟かつ貪欲に取り入れる。
②常に「自分が間違ってるのでは?」と自問自答する。
③コピーライターという定義を書き換える。
まず①の
「あらゆる部署の知識や経験を柔軟かつ貪欲に取り入れる。」ですが、
私の場合は、たまたま偶然、
いろんな部署をたらい回しになったのですが、
これは本当に良かったと思っています。
広告というのは、クリエイティブだけでは成り立っていません。
いろいろな部署の立場に実際に立って、
板挟みとかにあって体で理解しないとわからない事が多すぎるのです。
たとえば、私はここ数年、
イベントディレクターみたいな仕事をすることが
結構あったのですが、
やってみないとわからないことが山ほどありました。
人々の体験を促す現場を体験したことが無い方は、
一度でいいので体験して頂きたいと思います。
ビックリするくらい生易しいものでは無いです。
人に体験をしてもらうことのシビアさを痛感します。
リアルタイムで進行していく現場を仕切る緊張感など
コピーライターの時にはまったく経験したこと無い感覚でした。
そういう実感値が無い中で出す企画というのは、
たとえ面白かったとしても机上の空論だったりすることが多いです。
所属されてる会社や忙しさによるとは思いますが、
可能な限り、コピーライター以外の職種に
首を突っ込まれると良いと思っています。
そして特に、
デジタル解析の知識において、
かなり理論武装する必要があると思います。
理屈じゃないんだ、データを元にコピーなんか書くもんじゃない、
と思われていると、今後、かなりリスクがあると思うのです。
デジタル理論武装がある程度できると、
データがカバーしきれない領域が見えてきて、
逆にむしろ面白いことができそうな
「突破口」が見えたりする様に感じます。
近年、囲碁においてAIが人間に勝ち始めていますが、
究極なのはAIだけ活用するのではなく、
「AI+人間」が最強なのだそうです。
ということも含めて考えますと、
デジタル解析を理解した100点のコピーを書くコピーライターが
百人力だと思うのです。
私の会社で実施したWeb診断士の資格を取ることもオススメです。
もちろんこれだけでは全然ダメですが、最低限の知識にはなります。
そして、その上で、
Facebook広告などを自分自身で出稿してみるのもオススメです。
人を動かすコピーってなんだろうって考えることになると思います。
もちろん短期的な視点で人を動かすだけが広告の役割ではないので
注意が必要ではありますが。
他にも、マーケティングにおける「フレームワーク」や、
メディアプランに関する知識も重要だと思います。
いずれにせよ、
超激変の時代はやるべき事は膨大に存在していて、
ですが、それらをやれば広告は、
ひょっとしたらメチャメチャ面白い仕事になる可能性もある気がします。
そして、
コピーライター経験者はその中心に来れる可能性があると思うのです。
②自分が間違っていると思う。
「広告は言葉のビジネスだ」と言われた
ウィリアムバーンバック氏は常に
ご自身のスーツの内ポケットの中に
Maybe
he
is
right.
(彼が正しいのかもしれない)
と書かれたカードを入れていた
という逸話があります。
20世紀最高と言われたクリエイターであっても、
自己認識だけに頼る危険性を強く意識されていたのだと思います。
それだけ私たち人間は、
自分で考えたことは絶対的に正しいと
思い込んでしまう傾向がありますし、
Maybe he is right.くらいに思っていないと
すぐに偏ったり、ズレていったりするのだと思います。
特に現在の様に、前例が無いくらいに変化する社会においては、
自分が過去に成功したやり方や考え方がもう通用しない、
もっと言うと「自分が間違ってるのでは?」くらいに
自問自答することが必要な時代に突入した気がします。
③コピーライターという定義を書き換える。
「広告は言葉のビジネス」であると思いますが、
その「言葉」というのは、私は「印字された言葉」よりもはるかに
「消費者の頭の中に書く言葉」が重要だと思っています。
TCCリレーコラムで以前、
「コピーライター」の語源を書かれていた方がいらっしゃいました。
そこでは「コピー」という言葉は本来
「広告コンセプト」という意味があったと書かれていたと思いますが
一方で「ライター」という言葉には、
「印字された文字」だけを書くという印象が非常に強いです。
「コピーライター」という言葉には、
「コピー」+「ライター」で5:5的な印象があります。
「コピー」という概念は、今後複雑化する広告において、
ますます重要になると思うのですが、
私は「ライター」という要素が50%もあることが今後、
コピーライターという職種を
悪い意味で自己拘束してしまい
矮小化をまねく可能性がある様に思うのです。
なぜなら、
新聞や雑誌などの紙媒体の概念がデジタルに移行していき、
A/Bテストやターゲティングなどの概念が入ってくることで、
ライティングの要素は、低価格化する可能性があります。
そもそもコピーライターは印字された文字を書くのが本質ではなく、
人々の心の中に言葉を残すことが本質だと思うのです。
「ライター」という言葉は、
新聞広告が全盛だった時代の産物であり、
現在の急激な社会変化の中で、
極論すると「Webのリスティング広告の文章考えといて」みたいな、
戦略の川上というより、
誰かの手になりやすくなる可能性が高まる気がするのです。
デジタル解析を受けて
「明日までに言った通りコピーを直しておいて」みたいなことだったり、
そもそも単価の低い言葉をたくさん書く、
それこそAIがやった方がいいよって職種に成り下がる可能性があります。
あくまでも個人的な極論ですが、
コピーライターは、
「コピー」の概念だけ残して、
名称変更するくらい
大胆にリポジショニングする必要がある気すらするのです。
証券マンが昔は「株屋」などと言われてましたが、
いつの間にか「ファイナンシャル・プランナー」とリポジショニングした様に。
現在、起きている変化は
そのくらいヤバイものであると思うのです。
しかし、リポジショニングがうまくいけば、
コピーライターの概念はこれからも生き続け、
世界一楽しい仕事になっていく様に思うのです。
5日間、超偏ったコラムにお付き合い頂き
まことにありがとうございました。
次のバトンは、渡邉寛文くんにお渡しします。
彼は、今年結婚する身長192cmの大型クリエイターです。
コラムでも書いた映像テクノアカデミアの受講生で、
「人のいいガキ大将」みたいな表現個性でした。
よろしくお願いします!
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