コピーライターは何にでもなれる
書きそこねた分、2回一度に書くとか言っておいて、結局もう金曜日の夜になってしまいました。3回しか書けませんでしたね、すんません。
最後のネタは、コピーライターのキャリアについて。
私は今、人前に出る時の肩書きは「コピーライター/メディアコンサルタント」と名乗っています。でももう何年も「コピーを書く仕事」はやってません。メディアコンサルタントというのは得体がしれませんが、メディアはこれからこうなるとかわかったような事を言う人です。コピーライターとかくっつけないほうがわかりやすいんだけど、この肩書きを手放したくない。本業はコピーライターなんですけど、メディアコンサルタントの方もやってます、あ、コピーは最近書いてないですけど。そんな気持ちです。
それに、コピーは書いてなくても、自分としてはやってる事そんなに変わってないんです。
コピーライターって、最初に課題となる商品の状況とか調べたり感じたり考えたりして、どうポジションするか、どう表現するかの大方針、コンセプトを出して、それを言葉にする。その言葉が骨になっていろいろと表現を肉付けしたりメディアプランも考えたり。そんな仕事ですよね。TCC会員ならもうわかってると思いますが、思いつきや感性で言葉を作るわけではなく、その前やその後まであらゆる事を考える。「ピンとひらめく」にしてもそれは最後の最後にそんな時もあったりするけど、とにかくうんうん考えたり、それをチームで共有したり、だからこうあるべきだと導いたりする。
私は最初は中堅広告会社に入り、TCC受賞後にフリーランスでコピーライターをやっていました。徐々にクリエイティブディレクターも兼ねるようになった。
ところがその後なぜか、ロボットという会社に入り経営企画室長をやったんです。ロボットがイマジカと経営統合して株式上場を目指すことになった。そのタイミングで、元々社長から現場まで仲良しだったロボットに「上場するなら経営企画室が必要なので俺やります」と提案して、じゃあやってくれ!となったんです。ちょうど私も、なぜだか「経営」をやってみたいと思ってたんです、その頃。
当時のロボットは、まあその頃は業界みんなそうでしたけど、「経営」とは程遠い実態でした。そこに「室長」として、取締役会を進行したり予算を立案したり、それまでまともにはやってなかったことを200人の会社でやるようになりました。
上場を目指すと、それまでなかったルールが必要だったり、やってなかったことをやらなきゃならない。広告制作の仕事仲間だった連中に、学級委員のように「はい来週までにこうしてください」とか言うんです。社長はじめ取締役陣にも「今度の会議ではこれとこれを議論してもらいます」と提示する。
でも進め方はコピーライターの仕事とそんなに変わらなかった。同じように課題の状況を調べて考えてコンセプトを立てて会議を進行してまとめて、場合によっては誰かにプレゼンする。
無謀にも手を挙げた経営企画室長の仕事でしたけど、コピーライターをやってたからできたんですね。経営のことがなんとなくでもわかってるコピーライターなら、言われてみるとなるほどねと思うんじゃないでしょうか。
さてロボットにいる間に私はブログを書くようになりました。2000年代の後半で、時代はネットに向かう頃。もうマスメディア頼みではクリエイティブ業界は立ち行かなくなるに違いない。リーマンショックもやって来て、大きく変わらねば。そんなことを書いていたら、業界の一部の人たちが読んでくれるようになって、今名乗っているメディアコンサルタントとして活動するようになりました。
〇〇コンサルなんて胡散臭いと思ってた自分が、そうなるなんてと思いますが、ここでもコピーライターの仕事のやり方と同じでした。課題解決のために、調べて考えて言葉にしてチームを導く。ついでにブログを書く延長で記事を書いたり講演をしたりも増えてきました。それもこれも、コピーライターとして培ったやり方、考え方が生きる、というより同じようなやり方でいけちゃいます。
だから私は、今もコピーライターのつもりなんです。仕事のやり方は変わっていない。コピーライターとして学び取ったものがそのまま生かせています。
つまりコピーライターは何でもできる。どんな仕事も有能にこなせる。コピーライターは何にでもなれるんです。レトリックで言ってるのではなく、本当に心からそう思ってます。
みなさんもコピーライターを続ける人もいれば、会社の命令や人生の変転でコピーライター以外の仕事に就くこともあるでしょう。でもTCC会員のあなたなら、何だってできます。何にでもなれます。何なら私のように、コピーライター/〇〇〇〇〇〇と肩書きを併記してはどうでしょう。
さてリレーコラムを最初に書いた男の2回目はこれでおしまい。
次回は長らくのフリーランス仲間で、一時期は一緒にやってた後藤国弘さんです。同い年で、還暦直前の二人が30前くらいから知ってるんですから本当に長い付き合い。何しろ今はテカテカ頭ですが知り合った頃は髪の毛ふさふさでしたからね。そんなところもいじってあげないと死んじゃう、とか言うくらいいじられ好きのお茶目なおっさんです。
では皆さん、来週もお楽しみに!
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