リレーコラムについて

コピーライターを製造するコピーライター。

戸部二実

 会社をやるようになって、何人かのコピーライター志望の人々がうちの会社の門をくぐりました。入社してくれた人たちの多くが、ここで頑張ってTCCをとるんだと意気込んでくれているものの、うまく育てるのって難しい。
 うちの会社は、ベンチャーやBtoB企業の仕事が多いので、わかりにくい業種だったりと、強みを掴むまでにも力が必要で、本領発揮するまでにちょっと時間がかかるんじゃないかと思います。
かつては、「まぁまぁ、力のある子だな」と感じてチャンスを与えようと書いてもらい「これなら、ありかな?」と思って提出したコピーが、お客様から「これらの案の、どれにもうちの会社のことが書いてないね」とシビアなバツを出されたことも。でも、こうした経験から「お客様はある意味、誰よりもCD」と思うようになりました。
 対面でお話しする方が経営者だったり、小規模な企業だからこそ「絶対に、成果出すぞ」と熱い思いがあるからどんなシーンも真剣勝負。これは、リクルートで制作していた頃とは少し違った感覚。でもだからこそ面白いです。
 そんなこんなで弊社のコピーライター(兼ディレクター)は、ざっくりともう3代目?くらいになります。最近、育成のアプローチを変えてみようかと思いたちました。
みんなをみて思うのが、戦略を考えずに「書く作業」に入ってしまうこと。ディレクションがあっても、そこから自分なりに「言い方の戦略」を練ってくれるといいのだが。「書きながら考える」といえば聞こえはいいけれど、ちょっと計画を立てずにトンネルをいきなり掘っている感じかなぁ。
 結果、同じような切り口のコピーを量産してしまうことに。つまり、視点が少ないんですね。
それで最近は、あえてクライアントの特性とそれにまつわる社会の過去・現在・未来の変化とか。それに対して人はどう思うの?とか。虫、鳥、地球、宇宙の視点では?などと空間認識を広げるようなフレーム(というには、あやふやなものですが)を描いてもらって、発想を拡張してもらっています。
とにかく視野角を広げるというのに今、徹底してこだわっている感じですね。これで突然、いいコピー書けた!とはなりませんが、みんなと話していると、このプロセスを入れたことで、今までと違う見方でコピーを考えられるようになった、とだけは言ってくれています。えへ。
これはあくまでプランニング出身でコピーライターになった私の発想法。本来は、書き手によっても違うものです。欲を言えば、いろんなコピーライターの方の、脳内メカニズム展覧会みたいなことがあったら、楽しいですね。
 輝くコピーライターを生み出す方程式なんてないけど、そして、それが情熱や才能のように語られてきた(事実、そうですが)けど。やり方によって、もっと伸ばせたかもしれない人たちへの「ごめん」も込めて、何かよい製造法も発明してみたいもの。そんなこんなで、私とメンバーたちの冒険は続きます。
明日は、「まだ、わかられてないもの」を相手にするコピーライター、について書いてみたいと思います。

追伸
これを読んだうちの若手の声

「コピーライターは視点が大事と書籍や講座でよく言われますが、
それを考える方法がこのワークに詰まっていたなと読んでて改めて感じました!
匠の頭で考えるのではなく、俯瞰的に見て自由な頭で考えると言えば良いでしょうか。
ボードにフレームを書いていただけたから、意識出来るようになったのかなと思います。」

ま、入社間もないので優等生的でしょ。頑張ってほしいです!

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