リレーコラムについて

ニュージーランド滞在記 ~Masa生活する~

松田正志

ニュージーランドでの生活は快適だった。

年中過ごしやすい気温で湿度も低め。
夏は晴天の日が多く、休みの日は広々とした公園や美しいビーチで
ゆっくり散歩やコーヒーを楽しむ。
すこし足を延ばして、手つかずの自然が残った山々をトレッキングしたり、
河に出かけてフライフィッシングするのも魅力的だ。
私は毎週のように海釣りに出かけ、アジやタイを釣っては刺身にし、
ニュージーランド産のビールやワインとともに舌鼓を打った。

食糧自給率は300%。あらゆるものが自国でまかなえる。
オーガニック、自然農法にも積極的で、体にやさしく、かつ美味しい。
移民が多いせいか、各国の料理が気軽に楽しめ、
中華、タイ、べトナミーズ、コリアン、メキシカン、イタリアン、
そしてジャパニーズSUSHIはどこに行っても人気だ。
ニュージーランドらしい料理といえば、
肉料理で言えばラムチョップや、赤身のステーキ、
魚介系はイギリス仕込みのフィッシュアンドチップスや
新鮮なオイスターなどが有名だ。
日本の食材も種類を選ばなければ何でも手に入り、
自宅では和食をメインに日本にいるときと変わらない食生活を送った。

しかしすべてが過ごしやすいわけではなかった。
地価の高騰により家賃はうなぎのぼり。
私の家は2LDKで週4万円を支払っていた。月ではなく、週。
しかも、独立した一軒家ではなくいくつかの家が連なった長屋である。
しかしそこはニュージーランド。
長屋共同の芝生の庭は広く、大きな樹がいくつも植えてあり、
毎朝鳥のさえずりが耳を楽しませてくれた。
長屋の住人は、ニュージーランド人、オーストラリア人、
中国人、フィジー人、フィリピン人、インド人と多国籍で、
子どものいる家庭も多く、子どもらはすぐに打ち解けて庭で一緒に遊んでいた。
はじめは英語がわからず泣いていた息子も、
やがて英語で言葉を交わすようになっていった。
大人同士もみな仲良くなり、互いに近況を話し合う関係になっていった。

他民族国家であるが、もっとも多いのはイギリス系の白人で、
次いで原住民のマオリ、そしてインド、中国ほかのアジア地域からの移民。
ニュージーランド人はフレンドリーな人が多く、
道を歩いていると、ときどき知らない人からも笑顔で挨拶される。
旅行先の街で立ち止まっていると「どこか行きたいの?」とすぐ話しかけてくる。
買い物に行けば店員が「今日は暑いですね」とか「その帽子、ナイスね」とか、
買い物と関係ない話題を突然降ってくるものだから来たばかりのころは面食らった。

家賃は高いものの、環境もよく、食事は美味しい。人々も親切。
そんなストレスフリーな生活にもピリオドを打つときがやってきた。

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