リレーコラムについて

バンドでメジャーデビューする方法。

嵐田光

僕、歌がうまくないんですけど、バンドのボーカルとして、メジャーデビューしてるんです。
普通、バンドのボーカルって、歌がうまいもんじゃないですか?
じゃあ、なぜメジャーデビューできたのか・・・

それはバンドに、自分以外にボーカルを2人用意したんです。
ボーカル(僕)+ギターボーカル×2+ベース+ドラムの5人編成。
そうです、うちのバンド、トリプルボーカルなんです。

今のバンドの前にやっていたバンド(20代の頃)では、僕がメインボーカルを担当してたんですが、
デビューに向けてのいい話が何度来ても、なぜか最終的に頓挫してしまって・・・
いや、下北沢のライブハウスを満員にしていると、どこからともなく、
何かの匂いをかぎつけて「業界人」っていう謎の大人がやってくるもんなんですよ。
で、その度に、ついにチャンス到来!今度こそは!って思うんだけど、気づくと、頓挫。
なぜ頓挫するのか、そう、僕の歌唱力に問題があったんです。だって、僕が業界人さんでも、
数多いるバンドの中で、わざわざそんな難あり物件を選ぶ、リスクを冒しませんもん。

そして30歳を過ぎた頃、僕にもそんな大人の気持ちがわかるようになり、もうさすがに潮時か・・・
って、バンドを活動休止して、1年くらい音楽から離れたんです。
だけど、やっぱり、うずうずしちゃうんですよね。バンドやりてえなーー!!って。

で、遊びくらいの軽いノリで、twitterでバンドやりたいって、つぶやいたら、
20代の頃にライブハウスで切磋琢磨してたバンド仲間たちが、手伝うよーって言ってくれて。
そん時、ふと思ったんです。もう、自分が歌うことにこだわるのは、やめようって。
僕が歌うより、僕より歌がうまいやつが歌えばいいって。いわゆる、大人になったってやつなんですかね?

そもそも僕は、ボーカルがやりたくて、バンドを始めたわけじゃなくて、
自分が作った曲や歌詞を歌ってくれる人がいないから、仕方なく、自分で歌ってただけなんです。
大事なのは、バンドでライブができること。お客さんに楽しんでもらうこと。
自分が歌うことは、それに比べたら、こだわるポイントじゃないって気づいて・・・
だって、苦手なことを苦手な人がやるより、得意な人が得意なことをやるほうが、みんなハッピーだもん。

こうして、歌唱力80点の僕は、120点のボーカル2名をバンドにスカウトしまして、
両脇を抱えてもらうように3つの声を重ねることによって、
平均点100点オーバーの「トリプルボーカル」というシステムを発明したのでした。
え、おまえが歌わなければ、もっと平均点あがるって?
そこは一応、バンドの発起人なんで、小さい声で歌いますから、ステージにいさせてくださいよ。ふふふ。

そこからは、とんとん拍子で、新バンドは、ライブを重ねるたびにお客さんが増えて、
変わったスタイルも面白いと言ってくれるレコード会社の人の目にとまり、メジャーデビューを果たしたのでした。

歌がうまくないバンドマンが、32歳で始めたバンドで、36歳でメジャーデビューする。
ちょっと、夢がありませんか?
別にやってることは、そんな変わってなくて、やり方を変えただけなのに・・・

夢とか目標というものに、何回チャレンジしても、うまくいかないとしたら、
それは才能がないせいじゃなくて、もしかして、方法が合わなかっただけかもしれない。
うまくいかなければ、自分の能力にあった方法を探せばいい。
だって、夢の叶え方って、ひとつだけじゃないですからね。

さあ、あなたも、歌がうまいボーカルを見つけて、バンドはじめてみませんか?
夢に手遅れって、ないらしいですよ!

NO
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