フラについて
この仕事をする上で、
もし一つだけ欲しい才能をあげる、と言われたら、どうしましょう。
誰もが一目置くロジカルシンキング力(左脳、順調に衰退中)。
相手を上手に刺激しつつ話をゴールに持っていくラリー力(これ上手な人尊敬します)。
瞬時にすべらない話をくりだせる雑談力(同上)
どんなときもここに正義があるかのように振る舞える鈍感力(いえ、具体的な誰かをdisっているわけではありません)
一度会っただけでスタッフやクライアントの名前を覚えられる記憶力(現場作業では意外と大事)
他人を一声で振り向かせられる声の大きさ(そこそこいいこと言ったつもりでも、たいていは音量が小さくてスルーされる悲しみたるや・・)
・・と、欲しい才はありますが
この辺は実はものすごく頑張れば、努力でなんとか手に入る才能がほとんどもいえますね。
だから、一つだけもらえるなら私は「フラ」です。
フラとは、生まれ持ったおかしみ、愛嬌のようなもの。
もとは落語家の間で使う言葉だと思います。
古今亭志ん朝師匠曰く
「ふっと笑いたくなるようなおかしみ、勉強してできるもんじゃない」とか。
フラは天然物しかありません。養殖で装っても気持ち悪いだけです。
コピーを書くこと自体にフラはあまり関係ないですが
おかしみを抱えているひとは、きっと世の中を見る目線にも、
周囲の世界にも、集ってくるものやひとにもおかしみがあると思うのですね。
その明るさで動いていくクリエーティブに憧れてしまうのですね。
そうそう、いいコピーがすぐ書ける才能はあまり欲しくなくて
それはやっぱり、コピーはするっと書けるよりうんうん唸って、
途中一旦、便秘になる過程がある方が面白いんだよなーと思うからかもしれません。
(コピーライターには、M気のある方が向いていますよね)
なお、フラがある舞台俳優といえば、な
阿部サダヲさんがタイトルロールを演じた「ふくすけ」は
今また再演しないかなと思う傑作です。