リレーコラムについて

ボーンストレッチャー

岡野鉄平

背が低いことが、コンプレックスでした。

きっと大きくなるからと
ブカブカの学ランを買ったのですが
ずっとブカブカのままで

あぁ、僕の成長期はもう終わってしまったのか。

危機感を覚えていた高2の夏のある日、

僕は、あるものを目にしました。

「アメリカの◯◯教授による研究で、
人間の骨と骨の間には、伸びしろがあることがわかった」

「伸びしろをひっぱることで最長15センチ伸びることも」

「喜びの声が続々。」

「見える世界が変わりました。」

それは少年ジャンプの裏に載っている広告で紹介されていた
夢のような器具でした。

ボーンストレッチャー

僕はすぐに載っていた番号に電話をかけ、
取り寄せることにしました。

当時、実家に住んでいた僕宛に
巨大なダンボールが届き、母親から不審がられましたが
誤魔化しながら部屋に運び、組み立てると

腹筋台に肩と足を固定するバーがついたシンプルな設計。
そして、横には謎のハンドルが。

なんだこれは。
中世の拷問器具か。
最初は、そう思いました。

説明書を見ると、ハンドルを回すことで
固定した足の部分がどんどん広がり、
骨と骨のつなぎ目をのばすとのこと。

なるほど。納得した。

早速、やってみようと思い、
寝転がったところ

なんと、ハンドルに位置が遠すぎて
一人では回せないことが判明。

困った。どうしよう。2万円もしたのに。
高校生の2万は今でいう20万の価値があります。

仕方ない。

僕は、母親を部屋に呼び

「何も言わず、このレバーを回してくれ」

と、頼みました。

母親は、とても困惑していました。

プチ反抗期だった僕は、恥ずかしくて
これが何の器具とは言いたくなく
とりあえずレバーを回して欲しいと頼みこみました。

謎の拷問器具に寝転んだ息子の横で
レバーを回す母。

しばらくレバーを回していくと
人体の限界を超えて伸ばしていくため、
当然、痛くなってきます。

僕「痛い!痛い!痛い!」
母「えぇ!?痛いの!?」
僕「だ、大丈夫、、もっと回し・・痛い!!」
母「もうやめよか?」
僕「いや、続けて。。」

気まずい空気でした。

そのまま限界まで伸ばしきった状態で10分ほど放置。

当時は、藁にもすがる思いでやったことですが
決して母親にボーンストレッチャーさせてはいけない、と
今は強く思います。

そんな荒行を1週間ほど続けましたが、全く効果はなく、
先の見えないボーンストレッチャー生活に嫌気がさして

いつの間にか、部屋の片隅へと押し込まれていきました。

大人になってからは
小柄であるからこそ、人に覚えてもらいやすいとか
個性としてプラスに考えることができるようになったので
母には、とても感謝しています。

小さく産んでくれてありがとう。

・・・・

1週間お付き合いいただき、ありがとうございました。

来週からのバトンは
大学、バイト先、サークル、会社に続いて
TCCも一緒になりました岡野草平さんに渡すことにします。

最初で最後のリアル兄弟リレーです。

NO
年月日
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