レタスもらって帰ったことがある
「最近なにやってるの?」
「〇〇の仕事やってる」
「あー、あれ、あねちゃんにいったんだ」
なんだか売れっ子の同期や
後輩たちが断った仕事ばかり、
自分に回ってきている気がする。
そんな時期が長いことあった。
「前後4年はアサイン上の競合だから、
全員倒しにいけ」
そう師匠には言われたけど、
実際にはけちょんけちょんに
倒されっぱなしだった。
今振り返ると、思い当たる節はある。
・・・結構たくさんある。
当時は、目立った成果もなければ、
企画もたいして面白くない若手時代。
なのに、無愛想で自分の営業もしない。
なんならちょっと、
先輩に媚びるのはダサいとすら思っていた。
そんな奴に、先輩だって
自分のキャリアがかかっている
勝負の仕事を誘うはずはなかったのだ。
隣の席で誰かが受け取っているチャンスが、
自分には永遠にまわってこない気がした。
このままではさすがにやばい。
だから、
「自主プレなんだけど・・・」
と先輩が言いにくそうに誘ってくる仕事にも、
とりあえず飛びついた。
誘われなくても自分で
クライアントを見つけてプレゼンした。
タイミング的にも、内容的にも、
相手からは一切必要とされていない提案。
それが、自主プレゼン。
良くて、
「いつかはやりたいんですけどね」と
やんわり優しくお断りされるパターン。
持っていった企画書の束を開いてすらもらえず、
「東京の人にこの田舎のことがわかるはずがない」と、
地元でとれたレタスを土産に渡されて
新幹線ですごすごと帰った苦い経験もある。
「ぼく、佐賀から出てきたので、
むしろ田舎のことしかわかりませんよ!」
と思ったが、その時は
全然言い出せる空気じゃなかった。
でも、続けていればやってみたいと
言ってくれる人たちもいた。
最初に形らしい形になったのは、
福島民報社さんとの『おくる福島民報』。
連絡がきたのは、
自主プレから半年以上たった後だった。
「あの企画をやりたくて」とメールがきたときは、
提案したことも忘れかけていたので驚いたが、
嬉しかったし、チームみんなでフルスイングした。
ありがたいことに、
その企画でTCC新人賞をもらい、
翌年続けて提案した
『夜の避難訓練』という企画で、
弟子の三浦さんも新人賞をもらった。
ちなみに昨年TCC賞をもらった
Bot Expressさんも、
「町づくりのDXをやりたい人いませんか」
という投稿をSNSで見かけてDMした、
ほぼ自主プレみたいなことから
巡り巡ってつながった仕事だ。
結果的にだけど、僕は自主プレで
キャリアの活路が拓けた。
だから、このコラムを読んでいる人に、
「なんだか同期や後輩が断った仕事ばかり
まわってきている気がして悩んでいます」
という人がいたら、ワンチャン
自主プレという手もあります。
自分でやりたいと言った以上、
実現するとなったら
逃げずに向き合わなきゃいけないので、
結果的に熱量の高いアウトプットになる
(ような気がします)。
最悪、実現できなくても、
「レタスもらって帰ったことがある」
みたいな笑い話は増えるので。
さて、次のコラムですが、会社の後輩、
田中賢一郎くんにお願いしました。
この効率化の時代に、
「めちゃくちゃ時間使って考えます!!!」
というスタイルで大活躍しているタナケン。
僕の若手時代とは真逆、きっとこういう人に
先に仕事が回っていくのだろうなという好青年。
コラムも楽しみです。
1週間にわたり、
お付き合いいただき
ありがとうございました。
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