人の購買行動はパターン化できない、という話。

「ありのまま、俺に起こったことを話すぜ！」

「洗濯機を買おうとしたら、いつのまにか家を買っていた！」

九州の誇る天才コピーライターにして、郷土熊本の大先輩、

岡田賢さん（以下：オカケンさん）からバトンを引き継ぎました。

ちなみに次に書く人はまだ決まっていません。

数名に予め打診しておこうと思ったのですが、それもなく見切り発車で書き始めてしまいました。

まぁなんとかなるでしょ。

電通九州の和久田と申します。読みは「わくだ」です。濁っている方の田んぼ。

どうでもいいことですが、僕の生まれ故郷の熊本・玉名の約半分は田んぼです。

コラムを書くのは二巡目ですが、ほとんどの方は初めまして、ですよね。

含蓄ある、そして熱いサッカーコラムの後で、またW杯期間中でもあるのですが、

サッカーの話は全くしません。というかできません、スポーツアレルギーなので。

５年ほど前まで、俗に言うマーケ的な部署

（正式にはコミュニケーションプランニング部）にいましたので、

今日は「人の購買行動はパターン化できない」というお話をします。

ちょうどその部署から、今のクリエーティブ部に復帰した頃、

僕は洗濯機を探していました。というのも、

当時使っていた洗濯機は、大学入学時から15年使い続けていた無印良品の洗濯機。

「洗濯すればするほど、汚れよるでしょーが」とは、

前回コラムを書いた時に度々登場した、母・寿美子（旅館の女将）の言葉ですが、

その言葉通り、新品のバスタオルを放り込むと雑巾になって出てくるという

不可逆的なタイム風呂敷機能を15年の年月の中で自ら搭載した、

AI社会を予見していたかのような洗濯機でした。

長く生きすぎて自我が芽生え、そろそろ休ませて欲しいという、

異常に物持ちの良い僕への無言のメッセージだったのかもしれません。

AIというより付喪神ですね。

あ、一応お断りしておくと、上記はもちろん誇張です。

洗濯機能の劣化は15年間一度も洗濯槽の手入れをしなかった和久田の責任です。

無印の洗濯機自体はもちろん素晴らしい製品であることをお伝えしておきます。

で、天神のビックカメラに買いに行ったのですが、

やはりそこは社会人。学生の頃に比べて選択肢が増えているわけです。

ドラム式、洗濯槽洗浄機能付き、大家族対応、海外のデザイナーが云々…

洗濯機だけに選択肢が増えているという面白いやつです。

ということを言いたいのではなく、選択肢が増えているのは洗濯機だけじゃない。

冷蔵庫や、電子レンジ、掃除機、テレビ、プレステ、ベッド、ソファ、テーブル…

その全てが学生時代からの、そしてほとんどが無印良品のもので占められていた当時の部屋。

物持ち良すぎだろ俺、付喪神のユートピアか！

気づけば家中のほぼ全ての家具家電を買い換えるプランを立てていました。

（途中プレステを挟んでビックカメラからIKEAに移動しているのは言うまでもありません）

「これ、もう引越しじゃねぇか」「よし引っ越そう」

最初、洗濯機を買いに天神に出たはずの僕は、いつのまにか物件情報を漁っていました。

でもね、もう家中の様々な家具家電に至るまで「買う」スイッチが入ってしまっているわけです。

おまけに、IKEAとか行くと自分でキッチン作れる、みたいなことまで膨らんじゃうわけです。

そうなると、元々大学で建築を専攻していた自分の、

「そもそもこういうことしたかったんじゃないっけ俺」みたいな気持ちで自分を正当化し、

気づけば週末の度に、中古マンションを見学し、その夜に図面を描いて模型を作り、

やっぱりプロの建築家に相談だ、とばかり大学時代の友人数名の時間を奪う、

みたいなことを繰り返していました。仕事しろ、五年前の俺。

そこからはもうシャバダバです（長くなってるので突然の永ちゃんで端折ります）

10軒目くらいで自分と同じ年齢の中古のマンション（当時築35年）を見つけ、売買契約、

工務店とのリノベーションの打ち合わせ、INAXのショールームに出かけユニットバスを買う、

ローン・保険の契約、引越しの手配、エアコンの工事予約諸々を済ませながら、ふと思う我あり。

Q．俺、なんでこんなことしてんだっけ？

A．洗濯機を買い換えようとしたから。

いや、楽しかったですよ。楽しかったんだけど、一つだけ、特に若い人に言えることは

家買うのすんげーめんどいから、結婚とかした後で一緒にやったほうがいいぞ！

って投げやりな終わり方！無名のコピーライターだからしゃーない！

ではまた明日。