作者の気持ちを答えなさい。
職業柄なのか
文章の行間を読むことが癖になっています。
自分で言うのもアレですが、
なかなかの行間マスターだと自負しております。
ここで、リレーコラムのバトンを渡してきた高阪さんが書いてくれた
僕の紹介文の行間を読んでみたいと思います。
※あんまり名指しするのもアレなので、以降は「作者」とします。
―――こんな文章です。―――
①次は、会社の先輩である河野さんです。
②河野さんは、「悪意ある言葉が、人の心を傷つけている。」という
③ACジャパンの作品で今年、新人賞をとられました。
④いつもすれ違いざまにボソっと私をイジってくれたり、
⑤酔っぱらうと本当の河野さんがコンニチハしたり、
⑥でも本当につくる企画がとても面白くて素敵な先輩です。
⑦それでは河野さんどうぞよろしくお願いします。
―――
①〜③、及び⑦は、単なる情報なので、無視します。
行間検証の対象は、④-⑥です。
そこだけ、抜き出してみます。
―――
④いつもすれ違いざまにボソっと私をイジってくれたり、
⑤酔っぱらうと本当の河野さんがコンニチハしたり、
⑥でも本当につくる企画がとても面白くて素敵な先輩です。
―――
この三行の中で、極めて重要で決定的な役割を果たしている単語。
それは、⑥の冒頭の「でも」です。
考えてみてください。
ここで「逆説」させる必要はないんです。
たとえば、「そして、何より、」でも成立するんです。
―――「そして、何より」バージョンはこちら―――
④いつもすれ違いざまにボソっと私をイジってくれたり、
⑤酔っぱらうと本当の河野さんがコンニチハしたり、
⑥そして、何より、本当につくる企画がとても面白くて素敵な先輩です。
―――
かなり⑥が強調されますが、成立していますよね。
でも、作者はあえて逆説の「でも」を採用している。
そこには、作者の“意思”があります。
つまり、
河野を褒めているポジティブな⑥に対して、
「④⑤は、ネガティブな文章である」ということを
「でも」を採用することで明確にしているのです。
というわけで、ネガティブな文章であるという視点で、
④と⑤を見てみましょう。
―――
④いつもすれ違いざまにボソっと私をイジってくれたり、
⑤酔っぱらうと本当の河野さんがコンニチハしたり、
―――
お気づきでしょうか。
④については
「いじり」と「いじめ」の線引きが
社会問題になっている背景を考慮すると。
まず間違いなく、
パワハラについてのクレームです。
⑤については
もっとストレートです。
アルハラについてのクレームですね。
作者は、紹介文というフォーマットの中で、
2つのハラスメントを訴えていたのです。
行間を読むことは、
作者の気持ちを考えることです。
高阪さん、本当すみませんでした。
―――
一週間駄文にお付き合いいただき、
ありがとうございました!
来週のバトンを受け取っていただいたのは、
会社で隣に座っている大塚久雄さんです!
大塚さん、よろしくお願いします。
※行間を読まれないようにシンプルな紹介にしました。
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