リレーコラムについて

冷蔵庫の中の食材で

一倉宏

学校の給食が苦手でした。苦痛でした。
カレーとか。よくこんな不味いものをと・・・
口には出さず、耐えていました。

生家は地方都市の商店街にある飲食店だったので。

私は、私の食べたもので、できている。
・・・という、フレーズにならえば。

私は、美味しいもので、できていた。
・・・いま思えば。

カレーもラーメンも提供する大衆的な食堂です。
厨房には大きな鍋にスープがストックされていて。
豚肉は地元産の肩ロースまるごとを仕入れていて。
いまでも自家製のカツ丼より美味しいカツ丼を
この東京で食べた記憶がありません。

料理の初歩はその厨房で見覚えたかと思います。
コロナ禍のホームステイ習慣もあって
在宅時には私が料理することも増えました。
・・・趣味のようなものですけど。

そんなに手の込んだものではなくて
ごくごく大衆的なメニューをひと手間かけて
・・・というところでしょうか。

昆布という存在の大きさを再発見しています。
池田菊苗博士が「うま味」成分(=味の素)を
昆布から抽出して発見した・・・のは有名な話。

「昆布だし汁」が淡麗系ラーメン界で
注目されていると聞きますが・・・
この私は数年前から自作しておったからねっ。

豚の肩ロースをガーリック炒めしたオイルで炒め
羅臼昆布で取ったスープでカレーをつくると・・・
伝説の赤坂見附「アミー」の味に近い気がする。

たぶん、レシピを再現したわけではなく
昆布のうま味が万能、ということなのでしょう。
だから、応用効きますよ。
やっぱり、スープは大切なんだ。

 

さて、きょうは、なにをつくろうかな。
冷蔵庫の中にある食材で。

これって、コピーライティングに近いんじゃないかと
ときどき、思ったりする。

 

特別な、高級な食材=ことば、など使わずに。
ふつうの、スーパーにあるような、ことばたちで。
どれだけ「美味しい料理」ができるか。

 

もしも、私はコピーがうまいとしたら

 

その秘密は・・・

 

 

昆布だったりして。

 

あなたと、コンブに。

 

 

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