リレーコラムについて

同じ店のバーガー

飯田麻友

前回、このリレーコラムを書いた、2017年夏のことを思い出している。

 

当時、私はちょうど別会社に出向したタイミングで。

一年間某ハンバーガーチェーンの仕事だけを担当する、という

ちょっと特殊な環境に身を置くことになった。

 

出向前は色々と不安もあったが、

結果として、その一年間は、(いろんな反省はありながらも、)

とても純粋に、楽しく広告をつくることができた一年間だった。

 

何が楽しかったかというと。

これがもう、なんだか、とにかく、

すっごく「チーム」だったのだ。

 

まず。出向先では、

営業もクリエーティブも、同じフロアで働いていた。

弊社では別フロアで働いているので、この時点ですでに新鮮である。

当然、座席もほぼ隣。困ったことがあったら、すぐ顔を突き合わせて相談する。

担当キャンペーンがはじまったら、

その日のランチは、みんなでお店に行って、

ハンバーガーをテイクアウトする。

日々の売り上げやSNSの反応を見て、みんなで一喜一憂する。

 

もともとクリエーティブは、

会社に行っても「個人商店」な感覚が強かったが、

出向中は、会社に行くと仲間がいる、そんな気持ちになれた。

 

同じ釜の飯ならぬ、同じ店のバーガーを、

同じタイミングで食べて、同じ空間で働くということ。

CDやADといった、クリエーティブメンバーはもちろん、

営業と、そして時にはクライアントとの一体感があり。

ひとつのクライアントだけを担当し、

チームがひとつになる幸福が、そこにはあった。と思う。

 

こういう話をすると、

やっぱり会うって大事だよねとか、対面打ち合わせの頃はよかったとか

そういう結論になりそうだが、決してそういうわけではない。

基本的にはリモート万歳で、移動時間はもはや無駄に感じるし、

何よりすっぴんで打ち合わせに出られる気楽さに

かえられるものはないと思っている。

ただ、最近とくに、

CRと営業や、代理店とクライアントとの意見がぶつかってしまうことが重なり、

理想はわかるけれど、簡単ではないと思うことが多かったせいで、

あの日々に思いを馳せた時、すごく眩しく思い出されたのだ。

 

ただ、先日、当時の営業の先輩と飲んだ時のこと。

当時のことを語り合う中で、

「飯田さん、クライアント提案のあと泣いてたことあったよね。

やばいな〜泣かせちゃったな〜って思ったんだよね」

と話してくれた。

 

・・・正直、まっっっっっっっっったく覚えていなかった。

つらかったことは忘れる性分のおかげで、

美しい思い出として都合よく記憶されているだけなのだろうか。

 

ただ、みんなでバーガーを買いに行くとか、

いっしょに食べるとか、そういうことができるチームや、

そんなチームをつくれるひとに憧れる気持ちは変わらない。

 

====

 

1週間、拙いコラムにお付き合いいただき

本当にありがとうございました。

前回から7年経ってしまったという事実と、

それだけの年月を経てもたいして成長していない自分の文章力に、

愕然としております。。

 

つぎのバトンは、

心から尊敬する先輩、小澤裕介さんにつなぎます。

 

私を出向先に誘ってくださって、

楽しいチームを築き、引っ張ってくださった先輩です。

私は小澤さんの文章、コピー、選ぶ一言一句がとても好きで、

飲み会の後に送りあうお礼メールすら、楽しみに読んでしまうほどなんです。

小澤さんのコラムを読みたい気持ちで、恐れ多くもお願いしてしまいました。

 

力不足で、もっと小澤さんとの仕事で頑張れたことがあったんじゃないかと

いまだに思ってしまうことがありますが、

当時叱咤し激励してくださったことが今につながっていると、感謝しています。

・・・と、ここでまさかの小澤さんへの手紙を書きはじめてしまいました、、すみません笑

 

愛にあふれる小澤さんのコラム、楽しみにしています!

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