リレーコラムについて

君はパンクを聴かない

熊谷卓彦

こんにちは。
沢辺香さんからバトンを引き継がせていただきました、
2007年入会の熊谷卓彦です。
どうぞよろしくお願いいたします。

沢辺さん、過分なご紹介をありがとうございました。
私の細い目の奥にかろうじてみえる瞳に優しさを見出していただけて嬉しいです。
最近、自分でも優しめな性格かもしれないと感じることがあります。
人の駄洒落やあやまちを責める気持ちが薄めかもしれません。

人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人間は、
のび太くんのように幸せな結婚ができると思いこんできたからでしょうか。

たぶん、多少お釣りをごまかされても、
目の前の人がそういう主義ならまあいいかと思ってしまうような気がします。

この性格が本当に人の幸せに貢献できるかは怪しいものでして
子どもの頃、私が優しく育てた犬はやんちゃ犬になりました。
兄がやや厳しく育てた犬は賢くなったのに。
優しさは、弱さと表裏一体です。

そんな私が沢辺さんとお話しさせていただけるようになったのは、
沢辺さんにこそ真の優しさと誠実さを感じたからでしょう。
穏やかな微笑みと、
相手への気遣いあふれる丁寧な言葉遣いと。

でもなによりも安心させてくれたのは、
そっと身につけていらっしゃる銀の突起でした。

ああこの方はパンクを大事にされていらっしゃる。

音楽がレコードやCDで届けられていた時代、
ジャケットデザインやアルバム全体の歌詞も含めた世界観は
手触りとともに体に伝わってきて、
今のストリーミングもより深いところで
人格の形成に影響を与えてきたように思います。

私にも10代を支えてくれたパンクロッカーがおりました。
銀の突起を身にまとう装いではありませんでしたが、
心もちの深いところではわかりあえるはず。

パンクの心もちがなんなのか、
なかなか言葉で表現できないのですが、
レコードやパフォーマンス全体で表現されていた何か。

何かを伝えたい、何かを変えたい、
時に自分の体に棘を刺してでも、という思い。

商品に関わる人々を幸せにするために奮闘するコピーライターの
心もちと重なるようにも思います。

パンクを大事にされているコピーライターさんは、
信頼できるコピーライターさんです。

今後もそういう方たちに出会えるといいなと思いますが
今の子どもたちはパンクを学ぶ機会があるのでしょうか。
パンクを知らずして立派な大人になれるのか、心配です。

心優しいパンク系コピーライターの皆さん、
折を見て子どもたちにパンクの心もちを伝えていきませんか。

TCCこども広告教室ならぬ
TCCこどもパンク教室。
まずは、コピーバンドの作り方から。

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