リレーコラムについて

“呪い”

中川 リョウ

こんにちは。
18年度TCC新人賞 電通の中川諒です。

 

 

突然ですが、僕は伊藤直樹さんに憧れてこの業界に入りました。
大学生だった当時、伊藤さんはWeiden & Kennedy TOKYOでECDをされていて、
NikeやGoogleなどのキャンペーンを手がけていました。
そんな伊藤さんのいるワイデンに、約一年間アルバイトで潜り込みましたが、
小僧だった僕には何も掴めないまま、一年はあっという間に終わりました。

 

入社時の志望するキャリア像に、
「プロモーションやキャンペーンに強いクリエーターになりたい。」
と書きました。

 

誰にも、こういう憧れる人はいると思います。
そして自分自身にも、ああなりたい!あんな仕事したい!と、「憧れの自分」を描く。
この「憧れの自分」というヤツが、モチベーションになる反面なかなか厄介で、
僕はもはや「呪い」と呼んでます。

 

同期や後輩がクリエーターとしてどんどん活躍している。
(ように見える)

 

Facebookのタイムラインが、年に3回くらい受賞報告で埋まる。

 

そんな中、自分はクリエーティブの部署にもおらず、
ただただ議事録を書いている。
(泣)

 

僕の入社してからの8年間は、
この「憧れの自分」と今の自分とのギャップに苦しむ8年間でした。
先輩の前で泣いたことも、親の前で泣いたこともいっぱいあります。

 

どこかの国の、ある研究で
「キャリアの80%は偶然から生まれる」というデータがあるそうです。

 

複数の毛色の違う部署と職種を経験してきて、
最近ようやく思えるようになったのは、
どんな経験も無駄なことはない。ということです。

 

望んでいなかった職種・仕事内容であっても、
そこでの体験はいつか身を助けます。

 

前の職場で当たり前のようにやっていたことが、
(もしかしたら、やらされていたことが)
意外と違う職場では特別なスキルになっていたりします。

 

 
新人賞をいただいた、「求人米 あととりむすこ」も、
評価いただいたのは、狭義のコピーではなく、企画とネーミングでした。

 

企画したお米を生産・販売し、購入者対象の農業体験を実施しました。

 

プロモーションや営業時代に培った、
場所・スケジュール・人手・お金を想定して動かす、実施する力。

 

TCCはコピーライターのための賞ではありますが、
これまでの、そういう見えない苦労に対して貰えたような気がしました。

 

 
この忌まわしくも愛おしい「呪い」。
「地獄先生ぬ~べ~」の”鬼の手”のように、
うまく付き合っていきたいものです。
NO
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