女性コピーライター
生まれついての愛人顔が
いけなかったのかもしれないが、
時代の名残もあったのかもしれないが、
「君が今年の女性コピーライターか」
「若手、女性 というだけで仕事が来るよ」
と声をかけられるのが、新人の頃、しんどかった。
「女心をくすぐるやつ」とか
(男心だってわしづかみたい)
「しなやかなコピーをひとつ」とか
(竹とヨガ以外で聞いたことない)
あなたがその手に何も持ってないから
表面でカテゴライズされただけなのでは?と
今となっては自省しつつ、
見る人の感性まで性別でくくるのは、不思議だった。
数年経って外資の別会社に配属になり、
2年ほど あるグローバルブランドを専任した。
日本オリジナルの企画を通すために
本国の承認プロセスが必須となる。
時差にえぐりながら痛感したのは
言語よりも、文化を超える難しさ。
そもそも共有している前提が少ないのだ。
あるある を諦めて、笑いのツボ を諦めて、
「圧倒的な普遍」を探すことしか出来なくなった。
・音楽を聴けば、体は揺れる
・苦悩するとき、人は独りである
・なにかを産み出す人は美しい レベルのこと。
そして繰り返し、ひたすら、Humanity を問われた。
その「人間」は、生きていますか? みたいなこと。
もう一回やりたいか と聞かれたら
正直 胃液がせり上がってくるけれど、
あの時間に猛烈に救われたのも事実だ。
作り手に男性も女性もクソもなく、
受け手に男性も女性もクソもなく、
じっとヒトの本質だけを見つめる毎日の
ルールはいたってシンプルだった。
いいから、考えれば良かったんだ。
そして また数年が経って、
ゴリゴリの概念の言語化みたいな仕事をしている。
なんかもう…すっかりゴリラだな… と思う一方で、
やっと健全な場所に来れた気もする。
世間の風通しが広告より速く良くなってきている今、
もうこんなことで悩む若手は少ないのかも知れない。
でもよしんばいらっしゃいましたら、
しなやかな笑顔で (だからこれは何?表情筋?)
ゴリラが殴り書いたコピーを叩きつけるのも、
手かもしれないです。
今日うまく答えられなかった
後輩への私信を、ここで返します。
–
電通の吉田さんから
Sansan検索経由でバトンを頂いた、
TBWA \HAKUHODOの戸澤麻里子と申します。
一週間よろしくお願いします。
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