リレーコラムについて

昨日の補足

中村直史

昨日のコラムに対して
多くの人から過分の言葉をいただきました。

共感した、素敵です、かっこいい
みたいな言葉もありました。

違うんです。
僕はちゃんとクソで
ろくでなさにも満ちた人間です。
いいふうに錯覚した方は
即刻イメージの修正をお願いします。

もう一つ昨日書いたことの補足です。

僕はとあるクライアントに育てられた
という意識が強いです。
はじめてまかされた仕事も、
TCCの新人賞も、
その後の自分にとって重要な仕事も
多くはそのクライアントのものです。
社会人1年目から12年担当しました。

その宣伝部はすぐにメンバーが
入れ替わるようなことはなく
たまに誰か部署を外れても
今度は商品担当として広告に関わるような体制だったので
ずっと長いこと特定の方たちに
コピーやCM企画を見てもらうことになりました。

広告を見る目があり、なにより
広告と商品に思い入れのある人たちだったので
その時々で言われた
言葉たちはずっと
体に染み付いています。
そんな中で、ヒリヒリするような
競合プレゼンもありました。

その全部が自分にとっての糧になっています。

クリエーティブの若者が
クライアントから目をかけられ、
問われ、叱咤され、時に喜んでくれ、
育てられるという文化はいい。
発注主と受注者という立場をこえて
人と人の関係が育つ。
そこがあれば。

競合プレ自体が問題というより、
それを当たり前の「システム」としてること、
「人がそのシステムの中で疲弊することに
気付けないシステムになっていること」が
問題なのかもしれないです。

その宣伝部があったから、コピーライターが育った。
その会社の人間ではないのに、育てられた。
コピーライターは、
その人たちにいつか喜んでもらいたくて、
必死にコピーを書きつづけた。

広告クリエーティブの世界に
ずっとそういう関係がありつづけますように。
これは今そうじゃなくなってますよね
っていう批評的なやつじゃなくて、
そういうのを大事にする人は必ずいるし
あちこちに光はあるはずで、
そんな希望的な「ますように」です。

昨年、
若い頃の僕を育ててくれた
その宣伝部のみなさんが、
僕の住む五島に遊びにきてくれました。
長い年月をへて、いっしょに海の前に並んで、
肩をくんで撮った写真を見るたび、
いい気分になります。

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来週は、もう一週長崎つながりで、
三島邦彦くんにバトンを渡します。
ちょうど発売された本(なんてかっこいいタイトルなんだ)も楽しみです。

中村直史の過去のコラム一覧

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