時間はいつも、ワンウェイチケット。
「これってそもそもなんなのだろう?」
そんなふうによく考えることがあります。
思い返せば、子どもの頃からの癖だったのかも知れません。
お金ってそもそもなんなのだろう。
宇宙ってそもそもなんなのだろう。
生きてるってそもそもなんなのだろう。
そんなことを考えては、面白がっています。
この癖は、コピーライターや広告企画者として生きていくときにも、
コンセプトファインディングに役立ってきたように思います。
今日はちょっと「時間」についてアレコレ考えてみます。
時間というのは、多くの人が絶対的なものだと思っていますよね。
13時から始まる打ち合わせは、みんなに共通の13時があるから成立します。
1日は24時間で、分数にすれば1440分。
それは誰にとっても同じはずです。
けれども、今を生きる私たちが当たり前に「時間」だと思っているものは、
実は産業革命の頃に広まった概念です。
人々が農夫から従業員になり、農場から工場に仕事場を変えたことで、
勤務を時間で管理するという概念が広まったのです。
こうして暮らしの中の重要な位置に「時間」が入りこんできました。
それまで、働くことと時間は無関係でした。
1日の長さもまちまちで、季節によって変化しました。
腕時計をしている人などいなかったのですね。
1日という概念は地球の自転から、
1年という概念は地球の公転から導き出したものですが、
地球の自転の速度も時代によって変化していますからね。
1日が24時間なのは今だけの話なのです。
そう考えると、本当は時間というものは存在していなくて、
人類が頭の中で勝手に作ったモノサシに過ぎず、
みんなで一緒に時間が存在していると錯覚しているだけなんですね。
地球上のどんな生き物も、時間なんて知りませんから。
たとえば、今日は木曜日です。
すでに来週の木曜日の予定が入っている人も多いでしょう。
しかしスケジュール表があるから来週の木曜日が実在すると思い込みますが
実はそんなものは存在せず、ただ「今」だけがあるんですね。
私たちは過去にも未来にも行くことはできず、
ただ「今」という瞬間にいるだけです。
宇宙の支配するルールのひとつに「エントロピー増大の法則」があります。
ブラックコーヒーにミルクを入れると、拡散していきますね。
それが自然にブラックコーヒーとミルクに分かれることはありません。
そのように、物事は秩序のある状態から秩序のない状態へしか変化しない。
これがエントロピー増大の法則で、宇宙のすべてがこのルールに従っています。
そして物理の世界では、このルールだけが、過ぎゆく時間の経過を示すものなのです。
人の老化もエントロピーの増大の一種ですが、
老化していくスピードが人によってちがうのは、当たり前なんですね。
本当の時間は時計の針が示しているものではないのです。
アインシュタインは相対性理論で、
時間と空間は絶対的なものではなく、相対的なのだと示しました。
時間は、それぞれの存在の中にあるのです。
私の13時とあなたの13時が同じなのは、
私とあなたが近くにいるからそう感じるだけであって、実際は別々のものなのですね。
ミルクコーヒーは、二度とミルクとコーヒーには戻りません。
つまりエントロピー増大の法則は、
時間は二度と戻らず、一方向に進む片道切符なのだと教えてくれます。
時計は円を描いて周回していますが、実際の時間は螺旋状になっていて、
二度と同じ状態を繰り返すことはないんですね。
私たちが今、地球の環境について考えるときも、
地球を以前の状態に戻すことはできないのだという現実を
知っておく必要があるわけですね。
石油を燃やせば、もう一度石油に戻ることは二度とありません。
石油という形としては、永遠にこの宇宙から消えたのです。
だから「復元可能性」ではなく、「持続可能性」なんですね。
なにか、とても興味深いことです。
さて、そろそろ家族が起きてきました。
今は何時でしょうか?
私の時計では? あなたの時計では?
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