本の帯
石井克哉さんから、リレーコラムがまわってきた。
確認してみると、僕が前回担当したのが2008年11月。
なんと13年前だ。
時の経つ早さにも、リレーコラムがこの間ずっと途切れず続いていることにも驚愕した。
以前のコラムを読み返してみると、そこには若干25歳の青臭い自分がいる。
あの頃の自分と変わっていないことも多いが、変わったことも多い。
会社は変わった。
Ogilvy&MatherからTBWA\HAKUHODOに移籍し、
LAでの海外赴任もさせてもらった。
帰国後はMedia Arts Labを経て、2020年にAccenture Interactiveへ。
その後、Droga5 Tokyoの立ち上げメンバーとなって現在に至る。
まさか自分がコンサルティング会社に入り、
クリエイティブを立ち上げることになるとは。
この辺のお話は少し前にインタビューしていただいたので、もしよろしければ。
https://www.advertimes.com/20210810/article359999/
私生活も変わった。
住む場所も変わり、世の中も変わり、生活リズムも変わった。
性格や価値観も変わった、かもしれない。
今は結婚もして、2歳3ヶ月の息子もいる。
まさか自分が家庭を築けるまでになるとは。
昨日までの数日間、家族で松本十帖に滞在していた。
エリアリノベーションのきっかけづくりのために
享年3年の老舗旅館を再生したホテルで、
長野県松本市の浅間温泉にある。
ホテル内のオトナ本箱とこども本箱という2つのブックストアがユニークだ。
昔の大浴場を丸ごと利用し、ブックディレクターが選書した本が所狭しと並ぶ。
イヤイヤ期のヤンチャ坊主が一緒なので、
一冊一冊をじっくり読むことは叶わない。
なので、目に留まった本の帯をあれこれ眺めて過ごした。
「〇〇絶賛!」「感動の嵐!」「必読の決定版!」
そんな具合に、文化人や著名人の推薦コメントが踊る。
ふと何気なく、妻に聞いてみた。
「もしも自叙伝『杉山元規』という本の帯を依頼されたら、どんな推薦コメントを書く?」
5秒ほど沈黙して、妻は言った。
「素直で面倒くさい原始人」
・・・え?
いろいろ突っ込んだり真意を事細かに尋ねようと思ったが、
大怪我するのが目に見えていたので
「売れそうだね」とだけ答えておいた。
妻には推薦も絶賛もされなかったが、
目まぐるしい日々を全力で楽しめるように努めている。
今週は、そんな「素直で面倒くさい原始人」杉山元規に
どうぞお付き合いくださいませ。