リレーコラムについて

東京で名古屋の宣伝してすみません その2

都竹玲子

◆このリレーコラムの目的
来年のたぶん秋頃に開催されるコピーライターズクラブ名古屋賞(以下、CCN賞)の公開審査会で「TCCのリレーコラムがきっかけで観に来ました」とこれを読んでいるあなたに声を掛けてもらうこと(願望)

 

◆CCNって?
CCNは、名古屋を中心に全国のコピーライターや制作者が集う団体です。CCN賞の募集・審査・年鑑制作をはじめ、交流の場の提供、情報の発信などを行っています。(CCN公式サイトより)

 

◆本文
コピーライターになって2年目。はじめてCCN賞に応募した。

15秒のラジオCMを1本。当時はすべての仕事を師匠にチェックしてもらい、商品として出せるレベルになるまで添削してもらっていた。応募したラジオCMは、師匠からの赤字がなくほぼ自力でつくり上げた広告だった。

CCN賞を受賞できるなんて思っていなかった。けれど、応募してみたかった。

公開審査会のタイムスケジュールで、ラジオCM部門は午前の部。旧電通名古屋ビル(当時の審査会場)の一室。ぎゅうぎゅうに座ってラジオCMを聴く審査員と一般参加者たち。息をひそめて、私は末席に腰をおろした。

ドキドキしながら、自分の応募作が流れるのを待つ。

ドキドキ。

ドキドキ。

あ、

流れた。

心臓の音がドクンドクンとかたちを変える。

周りの反応を伺う。

シン…。

誰も反応しない。

審査員の手が動いている様子もない。

次の応募作が流れる。

ちいさな笑いが起きた。

コピーライターとしての技術の差を痛感する。

公開審査後、それでも、1票でも入っていないだろうか?と得票数一覧を手にする。指でなぞって、自分の応募作を探す。

あった。

0票だった。

 

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CCN公開審査会の名物はなんといっても、世界の山ちゃん×味仙のコンボ。

審査が終わるのが、だいたい18時頃。一日中、熱量の高いコピーや広告を見まくって、審査員も一般参加者も腹ペコ祭り。『世界の山ちゃん』へ流れ込み、手羽先、味噌串カツといった名古屋名物をむしゃむしゃいただく(山ちゃんのキムチチャーハン大好きです)。

そのあと二次会でバー的なところへ行き、最後は台湾ラーメンで有名な『味仙(みせん)』で締める。

(東京や大阪といった遠方の参加者から「味仙の台湾ラーメンが食べたくて来てるようなもんだからね〜」なんて冗談まじりに言われることもしばしば)

いや、話が逸れました。

伝えたかったのは、「得票数一覧」のこと。

世界の山ちゃんは、ただ飲み食いする場所ではなく、審査結果を発表する場所だ。飲みはじめて1時間ちょっと経つと、CCN運営委員の方が「結果、出ました〜〜〜!!!」と速報を握りしめてやってくる。待ってました!!拍手が沸き起こる。

CCN賞の受賞作品と受賞者の名前が次々と発表されていく。受賞者がその場にいたら、前に出て受賞の喜びを語る。会場にいる我々は大きな拍手をおくる。

へらへら笑って拍手をしながらも、私の心中は穏やかじゃなかった。嫉妬でドロドロ。大手広告代理店の名称が挙がるたび、マリアナ海溝くらい暗くて深い、絶望的な差を感じた。

けれど私は身の程知らずなので、くそっ、見とけよ。いつか受賞者側になってやる。その時は盛大に拍手してよ!こんにゃろ!と思いながら拍手していた。

そして当時の私はCCN賞の結果以上に、受賞作発表後に配られる「得票数一覧」が気になって仕方がなかった。どの応募作に、どの審査員が、何票入れたか。0票までぜんぶ分かる。CCN、めっちゃオープン。

「得票数一覧」はプリントアウトされたものが何部か配られ、山ちゃん限定で見ることができた。

当然だけど、受賞しなかった応募作の方が圧倒的に多い。「得票数一覧」を取り囲み、自身の応募作の票数を確認する人たち。みんな悔しそうな顔をしていた。顔を見合わせて、無言で頷きあう。(いつか獲ろうな)(もちろんだって)そんな会話をするように。無言のライバルたちもまた、受賞者と同じくらい大きな刺激をくれた。

 

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コロナの影響で、今年(2022年)は世界の山ちゃんでの審査発表はしていないけれど、審査会場で結果速報を聞くことができたし、CCNの公式サイトで「1票以上獲得作品リスト」も公開している。

どんな時代になってもCCNイズムを大切にする、現CCN運営委員のみなさま。そして歴代のCCN運営委員のみなさまには、感謝しかありません。

いつかまた、あのカオス空間に帰れますように。

 

つづく

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