リレーコラムについて

競争

都築徹

TRUEの都築です。

金城学院大学の都築です。

 

学生たちは手をつないでかけっこをした世代です。

が、他学部・他大学も含めて70〜80人が受講する広告コピー制作の授業では、

学生が書いたコピーを自分が10本選んで全員の前で発表し、

Googleフォームで投票して、順位をスクリーンに映します。

著名なコピーライターの名作より、

同じ課題に取り組む、同じ年齢の学生が書いたコピーに、

彼らは嫉妬し、次こそはと燃えることを知りました。

 

都築ゼミは、「社会問題と企画で向き合う」を掲げています。

今年の2月、フードロスをテーマにした「説明が長い料理店」を開きました。

結婚式場をお借りした、1日限りのレストランです。

学生たちは、愛知県の農家、畜産家、漁師、荷を運ぶ卸の元へ取材に行き、

思いや工夫、苦労を聞いて、1000字を超えるコピーを書かなくてはいけません。

取材先から仕入れた食材を使って、ミシュランの星を持つシェフを筆頭に

4人の料理人が腕を振う5品のフルコース。

料理は、テーブルまでソムリエエプロンを巻いた学生が運びます。

メニューには生産者とシェフの思いを込めた長いレシピ名が並び、

一品一品に学生が書いた長い長いコピーが添えられます。

おしゃべりなシェフたちが雄弁に語りだし、生産者の皆さんも熱い思いをぶつけます。

説明がつづいている間、料理はお預けです。

でも、参加してくださったお客様は、満足された顔で帰っていきました。

「つぎは、いつやるの?」「もっと高くても、いいよ」

新聞にも大きく載りました。

 

正しさだけで、終わっていないか。誰かの心に届くのか。

食と向き合うきっかけに、本当になっているのか。

学生たちは、ずっと考えつづけます。

誰かの思いを受け取って、他の誰かに伝える使命を知る。

誰かのために書くことで、喜んでくれる人がいる。

彼らのコピーは拙いけれど、

大切なことをたくさん学んだプロジェクトでした。

 

学生たちには、こう言っています。

「大学生にしては、すごい!」は、褒め言葉じゃない。

「これやったの、大学生なの!?」と言われて、はじめて褒められているんだと。

考え抜いた企画を少しでも遠くまで飛ばすために、プロの力も躊躇せずに借ります。

学生が取材してアイデアを出して、催事タイトルも商品名もコピーも学生が書いている。

ポスターのデザインだけプロが手を貸してくれたら、

注目されて話題になる確率は飛躍的に高くなるからです。

関わったすべての人が幸せになるのなら、学生がすべてやるという発想は捨てていい。

 

どうやったら、次の世代の心に火をつけられるか。

会社も大学も、同じです。

 

つづく

都築徹の過去のコラム一覧

5827 2024.12.22 包丁
5826 2024.12.22 東海テレビプロジェクト
5825 2024.12.22 競争
5824 2024.12.17 アウト
5823 2024.12.16 セーフ
NO
年月日
名前
5827 2024.12.22 都築徹 包丁
5826 2024.12.22 都築徹 東海テレビプロジェクト
5825 2024.12.22 都築徹 競争
5824 2024.12.17 都築徹 アウト
5823 2024.12.16 都築徹 セーフ
  • 年  月から   年  月まで