覚えていたい。
上田浩和さんからバトンを受け取りました、
小山です。
このコラムの話が来て
一番に驚いたのが
「前に何を書いたか
何も覚えていない」
ということでした。
おそるおそる開いた
コラムの画面にうつる
2008年付のタイトルを見ても
こんなこと書いたっけ?というくらい
思い出せない。
年をとったせいか。
いや、それだけじゃない。
昔からなのです。
それでいうと。
すごいコピーライターの方って
本当にちゃんと覚えてる。
太田恵美さんが
「小山、あの時こういうコピー書いてたよね」
って15年くらい前の打合せで出した、
もうそれはそれはささいなささいなコピーも
覚えていてくださって。
ものすごく嬉しかったのですが
当の私はそんなコピー書いてたんだ!
っていうくらい覚えてない。
小川祐人さんにも10年くらい前に書いたものをついこの間
「っていう、コピー書いてましたよね」
って言われて
それもとてもとても嬉しかったのですが
覚えてない。
何も残ってない。
書いた瞬間するりとどこかへ
消えていってしまう。
そういえば漫画家の東村アキコさんは
小学校の時のみんなが忘れてるような本当にささいな出来事も
一言一句再現できるほど克明に覚えてると
何かで書かれてました。
覚えてるということは
そこに自分の思考があるからで
その思考が積み重なって血肉にあり
言葉や物語の湧き出す源泉になるのだと
思うのです。
そう考えると何も残ってない自分が
とても悲しくなります。
覚えていたい。
覚えていたい。
ブルーハーツの歌のように
唱えながら生きる日々です。
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