話、つくってませんから。(ジョニー?の巻)
これまでは「レジェンドとの遭遇」のお話をしてきましたが、
きょうは、逆に僕がレジェンド?に間違えられたお話を。
それは、バブルの象徴であったディスコブームが終焉を迎え、
それに変わって「クラブ」が台頭してきたころ。
自分は、あまりそういった場所に顔を出さないほうだが、
そこは若かりし日の広告屋、流行りもの好き、音楽好き、そして夜遊び好き。
となればクラブに行ってみようということにもなる。
おそらくその日は、仕事終わりにクラブ好きのスタッフに誘われて行くことになったのだと思う。
たしか西麻布辺り。かなり深い時間にも関わらずとても混んでいた。
着いて暫くすると、連れたちはそれぞれ知り合いがいて散り散りバラバラに。
僕はポツンとひとりぼっちになってしまった。
すると、ひとりの男が近づいて来た。
そして僕の顔を覗き込むや否や、大きな声で
「ジョニーじゃん!」
えっ、ジョニー??? 誰、それ?..
「いつ帰って来たんだよ!」
帰って来た???
「スゲー、久しぶり!」
かなり酔っている感じだった。
「いや、あの..」
否定しようとしたが、爆音で聴こえない。
それ以前に、そいつは僕の話を聴こうともせず誰かを呼んだ。
「◯◯子、ジョニーが来てるよ!」
現れたのは、とんでもなく薄着の超美形だった。
「えっ、彼がジョニー? すごい会いたかった〜」
その超美形に、いきなり抱きつかれた。
とてつもなくいい匂いがした。そして、信じられないほどの密着度。
この際、ジョニーでいいや..と思った。
「ジョニー、飲もうよ〜!」
僕にしがみついて離れない彼女と、いったい何杯のテキーラを一気飲みしただろうか。
ある瞬間から、全く記憶がなくなった。
「クルマ出ますから、危ないですよ、どいてください。」
その声で目が覚めた。
気がつくと僕は大きなお屋敷の門にもたれかかって寝ていた。
もう、すっかり朝である。
声の主は、そのお屋敷の管理人らしき男性だった。
そこが、どこだかもわからなかった。
そして、たまたま通りかかった空車のタクシーをひろった。
窓から見える風景で、そこが広尾だということがわかった。
何があったのだろう?
あの子は、あのお屋敷の子だったのだろうか?
かすかに、お屋敷に上がり込んだような記憶があるような、ないような。
袖口に残る謎の食べ物の染み。
もたれた胃。
付近に飲食店など全くなかった。
ということは、やはりあのお屋敷で食べたのだろうか。
そして、ジョニーじゃないことがバレて追い出されたのか?
..思い出せない。。。
それとも、全て夢だったのか???
いや、そんなはずはない。
僕の服にはあの子の香水の香りがしっかり残ってた。
ジョニー、いったい何者?
ほんとの話なんです。つくってませんから。
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