音なしの動画
2019年末。
編集室にて。
「デジタルの媒体だと、
音なしで見る人もいるので、
字幕をつけてくれませんか」
と、僕は監督にお願いした。
割とよくある、まっとうなオーダーを
お伝えしているつもりだった。
スマホで見る人すべてが
音声ありで動画を見るわけではないから。
すると監督が、
「音なしの動画しか見ない人のために、
映像を作る意味ってなんですか?
音なしで見る人には、静止画を見せた方が
コスト効率もいい気がするんですけど。
僕は、音も含めたバランスで映像をつくっているのに。
音なしで見る人のために動画を最適化するのって
おかしくないですか?」
と言った。
そうだな。
と思った。
あーあ、なりたくないと思っていたタイプの
人間になってしまった。
意味を考えずに、慣れで仕事をしてしまった。
落ち込むと、土井善晴の本を読む。
もしくは、平松洋子。
もしくは、向田邦子。
読むのは、料理の部分。
何かのつくり手であると同時に、
それを消費する立場でもある。
という点で、料理と広告は似ていると
僕は常々感じている。
そのバランスが崩れると、
よくないことが起きる気がする。
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