馬語から考えたこと
与那国島の小さな出版社が出している『馬語手帖 ウマと話そう』(河田桟 著/カディブックス)という本が、面白いのです。
ウマと暮らすために与那国島に移り住んだ編集者が、賢いウマたちの、さまざまな鳴き声やボディランゲージを「馬語」として紹介しているのですが、人間とウマは根本的に性質が違うということは基本にありつつ、中には「これは人間にも当てはまるコミュニケーションだな」と思うものがあります。
ウマは速く走る一方で、テンポが遅いという特徴を持っています。アクションに対して反応がとてもスロー。1時間後にようやくそのリアクションが戻ってくるという具合。けれど忘れていたのではなく、ウマの中では確かに何かが起きていて、時間をかけて考えているのだとか。半端じゃない熟考型なんですね。
こんなことがありました。会社を辞めようとする同僚が、
「あの時カワハラさん(私)がああ言ってたので、背中を押され、生き方を変えようと思ったんですよね」と。
確かにそれは言ったけれど、3年以上前では?と驚きましたが、その間、同僚はずっと考え、準備をしていたのです。
すぐに反応があって「いいね! 」と言ってもらえたら、それはそれでうれしいですが、馬語を知ったり、そんな同僚とのことがあって、じわじわと響き広がっていく遅効性の効果のことも意識するようになりました。
全然ふりむいてもらえそうもない人に、その場の反応など気にせず「好き」という気持ちを、言葉や態度できちんと示しておくのもいいですよ。デザインや広告の仕事でも、焦らないコミュニケーションをもっと実践してみたいと思っています。
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