リレーコラムについて

25歳の受難

田中賢一郎

僕も気づけば、社会人4年目。

 

「え?8月って全部夏休みじゃないんですか?」と

学生気分丸出しの質問をしていた頃の可愛らしい面影はもうなく、

お盆休みを取らなくても、何も感じない体になってしまいました。

 

25歳にもなると、

まだ特に体にガタは来ていないものの、

今までは感じなかった悩みが、

じわじわ増えてきます。

 

先日も、

高校時代の友人たちと久しぶりにご飯に行った時のこと。

 

自分も含め、すっかり社会人になってしまいましたが、

話し始めれば、あの頃と変わらないなぁ、というところも多く、

 

なんだか懐かしくて、

「いやぁ、全然彼女出来ないんだよねぇ!ははは!」

と当時のノリで話していたら、

 

突如気温が変わったかのように、冷たい空気が流れ、

 

「今はアプリとかで出会う人も多いよ」

「大丈夫、まだ25歳なら全然間に合う」

「忙しいとかは理由にならないからね」

 

と、さまざまなマッチングアプリを紹介されました。

 

ついこの前まで、

「彼女なんていらねぇよな!がはは!」

と一緒に笑い合っていたみんなが、

今では色とりどりのアプリの画面をこちらに向け、

真顔でプロフィールの書き方を教えてくれようとしている。

 

25歳になると、「彼女いないネタ」が全くウケなくなるという現実。

 

口に運んだ上カルビは、

いつもよりしょっぱく感じました。

 

 

さらに、年次が上がってきたことで、

もうひとつ悩みがありまして…

 

それが、

「先輩らしさ」は、どうやって身につけるのか?

という問題です。

 

これは持論ですが、

人は生まれながら、

「先輩がうまいタイプ」と「後輩がうまいタイプ」に

分かれているんじゃないかと思うことがあります。

 

たとえば、

先輩がうまいタイプの兄貴肌な方は、

「ご飯でもどう?」と気軽にランチに誘えると思うのですが、

 

僕は、圧倒的に後輩がうまいタイプでして、

先輩からの誘いには、ほいほいついていくのですが、

 

いざ自分から後輩をランチに誘おうと思うと、

PCの画面を遠巻きに見て、

打ち合わせ中かな、いま企画忙しいかな、と気を揉んだり、

お腹空いてないかもしれないし、

昼ごはん1人で食べたい派かもしれないし、

そもそも、自分と昼ごはんを食べたい人なんていないか、そうだよな、

と勝手に自己完結したりして、

誘えない理由ばかり思いついてしまうのです。

 

まだあまり知らない後輩に

急にタメ口で話すのもどうかなと思い、

敬語で話していたら、

「フリーザみたいで逆に怖いです」と言われたこともありました。

 

先輩風を吹かせてみたい、という気持ちはあるのですが、

未だ銭湯のドライヤーくらいの威力しかありません。

 

基本的にこんな感じなので、

むしろ後輩から誘っていただけると

本当に嬉しい気持ちになります。

 

ついこの前、大変ありがたいことに

新入社員の方に、

「タナケンさんっすよね!マジリスペクトしてるんすよ!

今度飲みにいきましょう!」とお誘い頂き、

 

スケジュールに、

『リスペクト飲み』というタイトルの予定が送られてきた時、

あまりのリスペクト感のなさに思わず笑ってしまいましたが、

全然嬉しさの方が勝ちました。

 

数年後か、十数年後か、

このコラムを読み返した自分が、

ちゃんと先輩になっていることを願って、

本日は終えたいと思います。

 

お読み頂きありがとうございました。

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