リレーコラムについて

1.過去より未来の話をしよう。

味村真一

10年間、何を書こうか妄想していた。
憧れのTCC。憧れのリレーコラム。
コピーライターになりたくて、なれなかったあの頃の自分。

フリーターからTCC会員にまでなった話、
一度コピーライターを辞めて戻ってきた話、
過去の辛い経験を糧に生まれたコピーの話。
当時の僕は、先輩方のコラムの中に自分と重なる言葉を見つけては
勝手に共感し、勇気づけられていた。

いつか入会したら。決してエリートとは言えない裏街道を行く後輩たちのために
自身の経験を綴ったアツくてエモいコラムが書きたい、
いや、書くのであろうと思っていた。
大好きなダニー・ボイル監督の映画「スラムドッグ$ミリオネア」みたいに。

けれど。いま僕が書きたいと思うのは、不思議と過去のことより、これからのことだ。
今年の5月に、広告代理店を退職して独立した。
最初はひとりでやるつもりだったけれど、周りに話すうちに協力してくれる仲間が現れ
半ばユニットのようなかたちで活動をしている。
代理店時代はできなかった広告の外の仕事も増えてきて、
1年前ですら、想像もつかなかった未来にいる。

ちなみにこれは1年前、TCC入会直後に書いたリレーコラム用のメモ。

ご丁寧に好きなJ-POPの歌詞になぞらえて、人生を振り返る構成にしている。
これはこれで面白い気もするが、今では何を書こうとしていたかすら思い出せない。
それも当然。2018年6月時点の自分が書きたかったことなので、今は違う。
ほんのわずかな時間でも、人は変容する。

思えば2018年の初め。石井ゆかりさんの「3年の星占い」を読んだとき。
山羊座は12星座の中でも、最も大きな転機があると書いてあった。
2020年までには古い武器と自分ルールを破壊して、
今まで想像もしなかった場所に行くと。
それはもう、どこかの代理店に転職するとか、コピーの賞をとるとかではない、
予期せぬ未来につながる何かを始めるべきだと直観した。
(最終的には少女マンガ家としてデビューするとか、たこ焼き屋になるとか!)

もしかしたら来年の今頃は、また違うことを言っているのかもしれない。
言うことがコロコロ変わる人、と思われるかもしれない。
けれど僕は、ブレないことが必ずしも正しいとは思わない。

誰かと関わり、混ざり合うことで生まれていく
自分自身の思いもよらない変容を、ずっと楽しめる人間でいたいと思う。

はじめまして。鈴木宏明さんからご紹介いただきました、
2018年入会の味村真一(みむらしんいち)と申します。

鈴木さんは、今は無きDENTSU E3という会社で3ヶ月間ほど同僚でした。
人間を見つめるまなざしがやさしいコピーを書く方です。
(工場作業員募集のコピー、10年前からずっと好きです!)
古巣に行くといつも声をかけてくれます。サイコパス風ですが、いい人です。

さて、「コラムに何を書こうか迷っている話」でコラムを1本消化してしまいましたが、
明日からは、いま自分がやっていること、これからやっていきたいこと、
これからのコピーって何だろう?と日々考えていることを
今いる現在位置からですが、お話しできればと思っています。

1週間、どうぞよろしくお願いいたします。

neuron 味村 真一
mimura@neurontokyo.com

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