リレーコラムについて

赤・緑・黒の丸薬

大杉陽子

実はTCC会員になって、初めて知ったことがあります。
なんと、「コピーが書ける薬」というのが業界には存在するらしいのです。
「大杉も会員になったことだし、もう知っておいてもいいと思う。実は・・・」と、
弊社の会員Aさんに教えていただいた内容は、恐るべしものでした。

○薬の存在は、会員だけにしか知られていない。
○存在するのは、赤・緑・黒、3種の丸薬。
○売られている場所は、渋谷のセンター街とも、表参道の裏あたりとも言われている。
○深夜3時ごろ、ちょうど駆け込みたくなる時間に、売人は立っている。

○ 一番リーズナブルなのは、赤の丸薬。
それを飲むと、コピーを短時間でとにかく量産できる。
足の先まで絞り出してネーミング案を出さなければいけない時や、
コピーは100個くらいないと選びようがないというADと組むときなどに、服用するといいらしい。
ただしコピーの質は問えない。
依存してしまうと、以降、浅いコピーしか書けなくなる。

○ 緑の丸薬は、まるで難解な方程式を解くように、
 「正解コピー」が生み出せる薬だ。
TVCMのプレゼン直前、様々な事情でコンテをかき乱された挙句、
「あとはコピーだね」と全つじつまあわせを強いられた時などに服用すると、ドンピシャ。
ただし、「あの人は全てを解決するコピーを書いてくれる」と評価され、
以降、薬への依存を余儀なくされる危険性がある。

○黒の丸薬は、もっとも恐ろしいものだ。
何百万とも何千万円とも言われ、中国の奥地で取れる薬草とも、
大先生たちの爪の垢を煎じたものとも言われている。
この薬は、その人も知り得ない心の深い、深いところにまで作用し、
世の人全てを深く感動させるような傑作コピーを吐き出させる。
これを飲むと、TCCの部門賞などは目じゃないらしい。
しかし同時に、本人も封じ込めていた心のトラウマなども引き出してしまうため、
人によっては一生もとの生活に戻ることはできなくなる。
まさに命をとるか、コピーをとるか、究極の選択…。

…てなことを考える暇があったら、コピー書けって言われそうですね。
あいすみません、もう二度と妄想しません。

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