リレーコラムについて

働く男

近藤成亀

今日は、前の会社に勤めていた時のコトを書きます。

現在の職場の同僚や後輩たちに、このコトを話すと
口を揃えて「ありえな〜い!」と合唱されるのですが、若かりし頃
私は、組合書記長という「本当に似付かわしくない」ポストにあり、
春と冬の闘争シーズンになると職場を離れ、各セクションから集まってきた
精鋭?どもとともに、狭くて汚い書記局をアジトとして、
会社側(経営陣)と闘っていたのでした。

例えば、昼間の団体交渉では、時には怒りを露にしつつ
会社側に組合員の窮状や気持ちを訴えたり、
夜は交渉の議事録(たまに緊張や怒りで誰も速記してなかったりする)を
もとに情宣づくり。そんなハードな生活を送っていたのです。
で、基本的に、書記局にはいつも重苦しい空気が流れているのですが、
ず〜っと緊張しっぱなし‥なんてことはさすがになく、
たま〜に誰かが合コン情報!を持ってきてくれたり(これが妥結後の楽しみ)
女性組合員の手作りお弁当の差入れ(腹より心が満たされる)などなど、
禁欲生活を送る男たちにも一時の癒しタイムは許されたわけです。

なぜ、こんなところで組合話を持ち出したかというと‥

はっきり言って、私の「プレゼン度胸」と「コピーテクニック」は、
この組合活動で鍛えられました。それまで、プレゼンではやや自信なさ気に
喋っていた私ですが、団交の場数を踏んだおかげで、自分より偉そうな人たちの
前でも堂々と喋ることができるようになりました。
コピーの腕も、情宣づくりで組合員(ターゲット)の気持ちを察しながら、
見出し(キャッチ)やアジ文(ボディ)を練っているうちに磨かれました。
あ、後者は少し誇張入ってるかも。

ちなみにTCCの新人賞獲得の知らせを聞いたのは、1999年の春闘中でした。
闘争も大詰め!しかし要求貫徹までガンバロウ!と書記局が熱くなっている時に、
当時のクリエイティブの上役、つまり会社側の人が「おめでとう!」と
笑みをこぼしながら私に握手を求めて書記局に入ってきたので、
その場にいた他の執行委員が呆気にとられていたことを覚えています。

闘争期間中に祝い事‥なんてもっての外ですが、その夜は、執行部の仲間が
こっそりと、ささやかな祝宴を開いてくれました。受賞後最初の乾杯をCR以外の
部署の人たちとするのも妙な気がしたけど、とても嬉しかったです。
ちょうどその場には新人賞の対象になったポスターを一緒に作ったADの石田さんも
同席していて(あの石田さんが執行部にいたコトも信じられない話だけど‥)
その先輩は「ローカルの広告会社の制作からTCCを獲ることがいかに難しいか」を
営業の人たちに熱く語りながらコトの重大性を説明していました(うれしかったなぁ)。
注)いまとなっては福岡の広告業界もTCC会員だらけなのですが‥

前の会社の同僚や後輩とは、いまでもたまに飲んだりします。
競合プレゼンですれ違うこともしょっちゅうです。
一方で、すっかりご無沙汰してしまっている先輩もいます。

てなわけで「宮崎さ〜ん!そろそろ『上潮』予約してもいいですか〜?」

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