セルキー君の冒険
セルキー君が降り立ったのは、砂ぼこりの匂いがする町でした。
ポケットの中は、両替してもらったツブツブ硬貨でいっぱいでした。
「ねえ、おばさん、その紫リンゴを1つくださいな」
「1個、10ツブツブだよ」「もうちょっとまからない?」
「これはねえ、1万個に1個しか取れない貴重な実なんだよ」
セルキー君は、ねばりにねばって1個4ツブツブで買うことにしました。
いいものを安く買ったので、セルキー君はリンゴを頬張りながら、
得意気に町を歩きはじめました。すると、どうでしょう。
紙袋いっぱいの紫リンゴをもった人があっちにもこっちにも
いるではありませんか。やられた!
セルキー君は、だまされたことを知り、警官のオジサンを連れて
さっきのお店へ戻りました。「このオバサンは嘘をついたんだよ」
「なにを言ってるの、あなたが4ラピートって言ったんでしょ」
集まってきた見物人たちに味方になってもらおうと
セルキー君はまくしたてました。ところがどうでしょう。
警察官もまわりの見物人たちもみんなセルキー君が悪いと言うのです。
だました人よりもだまされた人が悪いですって。
セルキー君は、可愛い瞳に涙をうかべて抗議しました。
すると、どこからか乞食のような男が現れてつぶやいたのです。
「坊や、この国には、定価というものがないんだよ。
欲しい人が、欲しいものの値段を決める。それがルールなんだよ」と
もしも定価というものがなかったら、
値段と価値がまちまちだとしたら、どんなCOPYを書きますか。