リレーコラムについて

プラダのこと。

三神明仁

 ちょっと仕事の話になるが、
それまで長くいた求人系の部署から住宅系へ異動となった。
すると、建築家やインテリアコーディネーターといった、
格好のいい人々とも会うようになった。
でもよくよく話をみていると、
クライアントがいて、ダメだしがあって、
我々広告屋さんとも、よく似ていることがわかった。
やっぱり上に行く人は、腕だけじゃなくて、営業もうまい。
 
 そうだ。プラダの話だ。
もちろん人にもよるが、建築家やコーディネーターの方々は、
黒やグレーを基調としたストイックな格好をしていることが多い。
これがまたいい感じに映った。
知的というか、あえて何を企んでいるかわからない風というか、黒子というか。
そこで、プラダだ。
昔、流行った▽マークに鎖状のバックくらいのイメージしかなかったのだが、
松任谷正隆さんが何かで「プラダのドライビングシューズはすごい」と言っていたのを聞き、
騙されたつもりで靴をはいてみた。
これがはまった。
履き心地といい、デザインといい、あわせやすさといい。
足元からどんどん黒くなっていった。
ミウッチャ・プラダという女性もクールで、
ますますシンパシーが高まっていった。
うん。これも病気の一種だった。

 最後は、総本山。
ミラノ詣でとあいなった。
たくさんの信者に群れて、お布施をささげた。
デザインの好みは、どんどんストイックになっていった。
ステンレスやガラスなどミニマルなものが良くなった。
ちょうどその頃、アウディのTTが出てクルマも変えたくなった。
感性の自己内伝染は商材ジャンルをまたいでいく。

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