しあわせなタイミング 夏の日篇
中丸明子
昼間の熱が、上へ上へと舞いあがっていく。
うっとりと目眩を覚える、夏の夕方。
空腹を感じながらも、
U子との待ち合わせまで、あと30分はある。
表参道のビブレ(今はもう別のお店だ)に、吸い込まれてみる。
濡れたキャンディのようなアクセサリー。
今日着ているTシャツと同じ
メロン色をしたガラスの指輪、みっけ。
買うしかなーい。
ふと視線を感じて振り返ると、
なんと美しい髪色にカラーリングしたU子がいる。
ヒマつぶししてたのにーと、
ひとしきり盛り上がって、表参道を歩きだす。
通りすがりの人から、一番好きな香り。
ムスクの香りがした。
もう、夏なんだな。
空腹にビール。いきますかぁ。
夏のはじめの、このタイミング。
すべてがそろいすぎている。
しあわせだ。
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