海
納健太郎
日曜日から2泊3日、家族で海水浴に行ってました。
泊ったホテルは全室オーシャンビューが売りなんですが、
僕らの泊った部屋からはなぜか露天風呂(男のみ)が丸見え、
オヤジの裸体がたっぷり拝める「オッサンビュー」でした。
キツい眺めでした。で、今日は海の思い出話を2つ。
◎六甲の海、Oくんは落ちた。
深夜の誰もいない埠頭で、潮風に吹かれながら飲むワインは最高でした。
メンバーは僕とデザイナーOくん、そして女子2人。
いい感じで酔いがまわってきったころです。あれ、Oくんがいない!!?
なんと岸壁から4mくらい下の海に転落していました。
Oくんは平泳ぎしながら助けを求めていました。
とりあえず僕は自分がつけてたベルト、ネクタイ、その辺にあった棒などを
くくりつけて海に投げ入れました。
引き上げ作戦は一見成功したように思えましたが、
半ばまで上がってきたところでネクタイがブチっと切れ、
Oくんは蜘蛛の糸のカンダタのように再び海に転落していきました。
あぁどないしよう!?酔った頭を抱えていたら、
女子Aが遠くの方で夜釣りをしてたおじさんを呼びに走ってくれました。
駆け付けてくれたおじさんは慣れた手つきでmyロープを海にひょいと投げ入れ
Oくんをぐいぐい引き上げると、
またシェーンのようにさっそうと去っていきました。
◎淡路島の海、母と姉は遅れた。
6歳の僕と父は釣り糸を垂れながら、
あとからやってくるはずの母と姉をずっと待っていました。
その日は4人で釣りをする予定でした。
母は「すぐ追っかけるから」といっときながら何時間待っても来ないのです。
神戸の自宅から淡路島のその磯まで、1時間半もあれば来れるはずなのに。
いまならケータイですぐ連絡もつくのでしょうけど。
父は僕に、もう帰ろうと言いました。
釣り道具を片づけトボトボ二人で帰りの船に乗ろうとすると、
その乗ろうとする船から母と姉が済まなそうに降りてきました。
遅れた理由は多分しょうもないことやったと思います。
父も別に怒る風もなく、
せっかく着いたんやから4人でたこ焼きを食べて帰ろうということになりました。
「わざわざ淡路島まで、たこ焼き食べに来たんやなあ」と
母は呑気に言い4人は大笑いしました。
なんてことない話で僕自身も30年以上ずっと忘れてたのですが、
2年前下関で海の匂いを嗅いだ時、
突然そのときの状況がどんどんリアルに甦ってきたのです。
なんてことないはずの海の一日が
なぜか家族の幸せな状況として思い出せたのです。
いま6歳の娘はあと何十年かたったとき、
家族と海のどんな光景を思い出すのでしょうか。
露天風呂のオッサンの尻やったらいややけど。
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