リレーコラムについて

「大好きな食べ物」

東秀紀

ぼくが知っていること、その4
「大好きな食べ物。」

「死ぬ前に、最後に食べたいものは何?」
って会話がいっとき流行ったじゃない。

そのとき、「お鮨」って言ったやつがいて(自分だけど)、
それはずるいな、と思った。
だって、それだったら、マグロだって、ウニだって、
納豆だって、カリフォルニア巻だって、
極端な話、アイスクリームだって、鮨にさえすれば
だいたいのモノは食べれちゃうじゃない。

ま、それに近い話ではあるのだけれど、
でもやっぱりちょっと違う話。

ある日、友だち(イマイとサイトー)と、
自分がとにかく大好きな食べ物は何かをおたがいに真剣に考えて、
それがどのくらい大好きかを会話したことがあった。

ぼくは、シラスと筋子が大好きで、シラスのことをこう話した。
「外での打ち合わせと打ち合わせのあいだが中途半端にあく時があるじゃない。
30分くらい。
そうすると、おれ、コンビニとかスーパーにはいって、シラスを買って外にでて、
そのラップをはがして手でつまんで食べてるんだ。
これが、うまい。」

ソフトクリームを歩きながら食べてる人はいるけど、
シラスを食いながら歩いている人は少ないでしょ?

そうそう、ぼくは、焼そばも、
歩きながら手でつまんで食うのが好き。
割り箸じゃだめ。

手の触感っていうのも、おいしさに関係あるんじゃないか、というのが
ぼくの持論で、だから、子供に手で食べちゃだめ、ってなんでもかんでも
叱るのは違うのかなあ、などと考えている。

焼き鳥も、串のまま食べるほうが、
串からばらしたときよりおいしい感じがする。

話が脱線してしまった。
ぼくは、筋子のことはこう話した。
「筋子を一口サイズに包丁で切るじゃない。
粒を割らないようにていねいに切るんだけど、
どうしても割れるものがあって、その汁が包丁につくじゃない。
おれ、その包丁をなめるんだ。」

おたがいの大好きな食べ物がわかると実はいいことがあって、
おみやげはそれでいいんだ。
だって、とにかく大好きなんだから。

べつに、試してみなくていいよ。

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