リレーコラムについて

水中での事件簿

戸部二実

金魚にも性格が、あるんです。
うちで飼ってた2匹の金魚。どちらも赤くて小さい、よくあるヤツですが、
二匹、面白いほどタイプが違っていました。
一匹はやや大柄でのんびり屋さん。エサをやってもしばらくはエサに気づかない。
しかも、体の割には小食なおかた。
もう一匹は、チビだがひきしまった顔つき?エサをやる前から人影を察知すると、
「エサくれエサくれ」と愛想を振りまくお利口さん。
当然、飼い主としては、コイツの方をひいきしちゃいますよねー。

ところがある日、この金魚鉢で事件勃発。
一家が旅行から帰ってみたら、ボンヤリくんが死亡していたんです!
鉢を覗き込むと、おリコウさんの方は、なにやら妙にそ知らぬ顔。
よそよそしいなあ。友達が死んだというのに、なんかウキウキしてないか?
と飼い主は疑問を抱きつつも金魚を生育。
やがて、小さな金魚鉢にいっぱいになるほど、金魚くんは成長したのでした。

その翌年。我が家は近所のお祭りで、ダンナと子供で金魚をどっさりすくいました。
そして、水槽も大きくし、みんなを飼い始めました。すると、ある夜。
バッシャ。ビシビシ。バッターン。
激しい音が、水槽から。
むむむと、覗き込むと。例のでっかくなった金魚くんが、とろくさいチビ金魚を追い回している。
なんと! あわてて水槽をトントン叩くと、ひとまず追いかけっこは終了。
けれど、人間が目を離すとケンカがはじまる。
そんな、こんなでこの2年で、もう何匹もの金魚があの世にいってしまいました。

ときどき、ダンナが「反省」と称して、コヤツだけ元の小さな金魚鉢に隔離するんだけど、
もちろん、効果はナシ。
かといって、ヤツを捨ててしまうわけにもいかず、
我が家の水槽は、いまだ、金魚による、金魚のための連続殺人の舞台に・・
と、傍観してる場合でもないのだが。

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