所、変われば・・・
竹之内葉子
東京の大学へ進学する18歳まで、ずっと思っていたことがある。
「鹿児島という土地を一刻も早く脱出したいなあ。もし脱出が不可能なら、あの櫻島を爆破したい」と。
そんなバカげたことを思うぐらいに、桜島から吐き出される火山灰は大量で、噴火するたびに不快だった。
どーんとデカイ音がするとほぼ同時に、家の窓がしなり、煙りがもくもくとあがる。しばらくすると、火山灰が私たちのもとに降って来る。降って積もって終わりじゃない。降って積もったあとは、風で舞い上がり、ふたたび私たちを襲う。汗なんかかいてたら、べっとりと絡みつくし、机の上はざらざらになるし、換気しようとすると、灰がはいってくるし、洗濯物は外に干せないし、コンタクトレンズつけて自転車に乗ったら、目が痛くて死にそうになるし。雨が降ろうものなら、灰と雨が混ざって、泥雨のようになる。不快、不愉快、この上ない。
東京に来て、何がいちばんうれしかったか。
なんといっても、わーい!火山灰が降ってなーい!ということだったのは言うまでもない。
そう、私は、火山灰とは無縁の生活をする権利を手にいれたのであるから。
なのに、である。実家に帰省するたびに、ああ、見たい!見たいなあ!と思うのは、あの火山灰ふりまく敵、櫻島。
年末に戻ったときにも、キレイだなあ!すばらしい!なんて思うのだから、住む所変われば人変わるというかゲンキンなものだなあと、自分のことをツッコミたくなる。鹿児島弁だってそうだ。ダサイ!田舎まるだし!やっぱり標準語じゃなきゃなんて思ってたのに、味があっていいなあとか、郷愁高まるというか、感じ方が180度変わってしまったのだから・・・・。
鹿児島に住みつづけていたら、こんな感情を味わうことはできなかっただろうと、しみじみ思う。海外ロケにi行った後もそうだ。日本の良さを、日本食の素晴らしさを改めて知らされる。だから、早く宇宙旅行へ行って見たい。というか、みんな宇宙旅行に行くべきなのかもしれない。地球をしばらく離れたら、きっと、地球環境をもっと大事にしようとか、人類はもっと利害関係を超えて、協力しあうべきだとか、ちょっと達観した境地に至れるのではないかなあ。違う角度から、違う立場から見てみることが、いかに大切かを考えてしまうのでした。いまのこの生活も、会社も、人間関係も、ぜんぶ違う角度から見たら・・・・きっと?
さて、来週は、私の先輩、渡辺裕之さんです。1週間、おつきあいありがとうございました。
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