言葉にならない感情みたいな話
原科健介
今日、地下鉄に乗っていて、窓の外の暗闇を眺めていました。
思ったよりも寒い日で、薄手のウィンドブレーカーしか着てこなかったことを
ちょっと後悔しながら、ヘッドフォンで音楽を聴きながら。
地下鉄の外なんか眺めたって面白くもなんともないのに、
一人だといつもドアわきに立って、 ぼんやり外を見てしまいます。
でもご存知のように、まったくの暗闇というわけではなくって、
何本ものケーブルが一緒に走り、交差し、一本にまとまり、また離れて、
やがて明るくなって駅が現れます。
ケーブルが途切れ、黄色い駅の光が入ってきたときに、急に何かを
思い出しそうになりました。 あ、って。でもそれは、それこそあっという間に
指の間をすり抜けて、どこかへ消えてしまいました。
なんだかもどかしい気持ちだけが残りました。ちくしょう、なんだったんだろうな、あれ。
デジャビュとも違う、夢の断片をふっと感じるような、そんな感じ。
言葉になる直前の、不思議な熱のような、そういう感じ。
ときどき、そういうことってありませんか?
この感情というか、心の動きには名前がついて いないのかな。
きっとみんな同じような経験があると思うんだけど。
ヘッドフォンでは、今度来日するYo La Tengoがゆるくドリーミーな歌を歌っていました。
思い出せなかったことを思い出そうというのは、変な話ですね。
ぼくたちは、思ったよりも言葉にならない感情をいろいろと抱えているのかもしれません。
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