名古屋からの手紙 4
岩橋孝治
名古屋と聞くと、僕は3人の人の名前が浮かぶ。
清水義範
森博嗣
福島雅典
清水義範「蕎麦ときしめん」は20年以上前に読んだ。すべてが引用文という形式の小説〔と言うのだろうか?〕で、電車の中で読みながら声を出して笑った。駆け出しのコピーライターだったころで、気に入った箇所を書き写したりした。持って歩いてはなくし、また買ったりした。いま、僕の書棚には2冊ある。この間、妻の書棚を見たら、真新しい「蕎麦ときしめん」があった。
森博嗣は名古屋大学の工学部助教授にしてミステリー作家。理系の人の書く文章は、センテンスが短くて歯切れがいい。僕はこの人のミステリーでなく、HPをずっと閲覧していた。〔内緒だがこの人と僕の趣味が重なっているのだ〕それが幻冬舎から文庫になって出ている。この人の文章によく奥さんが登場する。ささきすばる。コミック同人誌の世界では有名な人らしい。大阪のヤンキーのお姉さんみたいな人で〔まさかこれは読まないだろうな〕この人、ほんとに大学助教授の奥さん?!と思います。名古屋へ下見に行ったとき時間ができたので、名古屋大学の工学部のキャンパスをあるいてみた。そして森先生のホンダビートが置いてないか探してみたものだ。なんだか、追っかけの少女みたいだなあと苦笑いしながら。
福島雅典はもと「愛知がんセンター」抗がん剤の先生。「患者よ、がんと闘うな」の慶應・近藤誠と激烈な論争をした人、と言ってもわからないか。ある医薬の仕事をしているとき、資料を読むような感じで、二人の対談を読んだ。なんだか、武士の果し合いを見ているようで、関係のないこちらまで緊張して読んだ。僕は近藤に感情移入しながら論争を読むが、福島は「敵ながら、あっぱれ」という感じ。医学論争は剣豪小説みたいだった。
つづく
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