6月29日
【コラム】
ふたりのオッサン
数年前、中国(CHINA)の
ある田舎街に取材に行ったときの話。
取材の途中、時間が空いたので
近くの市場に仕事仲間と出かけることにしました。
市場は野菜や魚や爬虫類や虫なんかが
ゴチャゴチャと並べられていて、
ジャッキーチェンの昔のカンフー映画を思わせる
極めてプリミティブなスタイル。
密度の濃い匂いが常にただよっている、
そんな雰囲気の市場。
「ひゃーこりゃスゲエや」と
満員電車のような人ごみの中を仕事仲間と歩いていると、
通路のど真ん中に小汚いオッサンが
うつぶせに倒れているのが見えました。
そばを通る人々はそのオッサンを器用に避けて歩いている。
「行き倒れか?」「でも誰も助けようとしないよ?」
とかなんとか歩きながらオッサンに近づいていくと、
オッサンがなぜ倒れているかがわかりました。
そのオッサンはバンザイのポーズで倒れていたのですが、
右手にはお茶碗がしっかりと握られていたのです。
そのお茶碗には少し硬貨が入っていました。
「ああ、いわゆる人の寄付によって生活している人なのなのだな」。
しかし、極めてクリエイティブなスタイル。
その田舎町を離れ大都市へと移動。
「晩飯はどっか地元の人が行きそうなとこにしよう」と
私たちは裏通りのちょいと小汚いビルに向かいました。
ビルの4階に食堂があるのを確認すると
エレベータのボタンを押しました。
扉が開くとエレベータの中に
椅子に座ったランニング姿のオッサン。
(うわ、またオッサンですか。
ていうか、なんでこのオッサン椅子に座ってるんだ?)
対処に困っているとオッサンが
何やら中国語で話しかけてきます。
とりあえず「ええと4階に、、フォーフォー」と
答えると4階のボタンを押してくれました。
無事4階について食堂で飯。
さあ、帰ろうと再びエレベータを呼ぶと
また同じオッサンが椅子に座っています。
私たちが乗り込むと何も言わずに1階を押してくれました。
「ああ、エレベータボーイなのだな」。
しかし、極めてプログレッシブなスタイル。
ところでコピーライターの世界(またかよ!)。
観た人にガツーンとインパクトを与えるコピーが
私には書けているだろうか?
自分でコピーの表現の枠を狭めていないだろうか?
私はコピーに行き詰まると、
いつもあの大陸で出会ったふたりのオッサンを
しみじみと思い出すのです。
嘘です。
【このCM、なんか好きだ!】
「バイトってサイコー!」
たまらなく好きです。
あの強烈なふたりの笑顔。
だんだん画面が小さくなっていっても
見えなくなくなるまであのふたりを
目で追ってしまうのです。
そして「また観たい」と思うのです。
【「アトピー」に怒りの鉄槌】
自慢ではありませんが私はアトピー性皮膚炎です。
ああ、かゆいことよ!
で、何が気に入らないって「アトピー」というネーミング。
なんだかぜんぜん深刻そうに聞こえないんですよ。
責任は100%「ピー」という語尾にある。
「のりピー」のような軽薄さ。
「柿ピー」のようなピクニック気分。
しかもアトピーの語源はもともとはギリシャ語で、
「奇妙な」または「不思議な」という意味らしい。
うーん、ますます気に入らねえ!
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