小麦粉婆ちゃん
ボクが小学校1年生のある冬。
祖母と二人で近所の散髪屋(近所と行っても2キロも離れてるんですが)
に行っている時それは起こりました。
歩いていた祖母が突然足を滑らせ、こけてしまったのです。
祖母はその場でうずくまり、足首を抑えすごく痛がっていました。
幼かったボクは、足を痛めただけなのに
祖母が死ぬのではないかと思い
怖くて悲しくて泣き出しました。
そして病院も近くにないし、父も母も働いていたので
必死に祖母をおんぶし、家に連れて帰りました。
家に帰りつくと、祖母が突然
「小麦粉と卵と水と何々を持ってきて」と言いました。
ボクは何のことかよくわからなかったけど、
急いで祖母に言われものをもっていきました。
そして祖母はそれらをボールに入れてこねはじめました。
何でこんな時に饅頭をつくってるんだ
とボクは不思議に思いましたが、
次の瞬間そうでないことがわかりました。
なんと祖母はそのこねた小麦粉を
痛めた足首にまいていたのです。
そうです、祖母は小麦粉でギブスを作っていたのです。
数十分後、足首につけた小麦粉はカチカチにかたまり、
ギブスになっていました。
これが昔の人の知恵なのでしょうか。
夕方共働きだった父と母が帰り、祖母の姿を見て
なぜ病院にいかないんだと激怒していました。
しかし、ボクは祖母の知恵に感動し、
お婆ちゃん子になろうと決めたのでした。
1487 | 2005.07.29 | ありがとうございました |
1486 | 2005.07.28 | 父とトラクター |
1485 | 2005.07.27 | 全裸襲撃 |
1484 | 2005.07.26 | 小麦粉婆ちゃん |
1483 | 2005.07.25 | 故郷の合併 |