50m泳ぎきった桃
世界水泳モントリオール2005。
日本選手の活躍に興奮しながら、
いまわしい記憶がよみがえってきました。
あれは確か小学校2年生のころ。
スイミングスクールに通っていたボクは、
選手コースの一歩手前でした。
あ、選手コースというのは、
一般コースから這い上がった
かなり速い選手しか入れない選抜クラス。
競争意識をあおるためでしょうか、
選手コースと一般コースでは
競泳パンツの色や素材が違っていました。
一般コースのは
明るい赤で微妙なダブつき感があるのに対し、
選手コースのは
渋いワインレッドで超ピッチリ。
とても強く、速そうに見えるのです。憧れでした。
ある記録会の50m自由形でのこと。
いいタイムを出せば選手コースへの道が開けます。
いざ、スタート。
飛び込んで数mほど泳いだとき、
何かがいつもと違っていました。ん?
まだかわいいボクの息子が
微妙な浮力を感じているのです。
・・・パンツ、ズル脱げでした。
泳ぎながら水をかいたその手で
必死にパンツをあげようとしますが、
うまくいきません。途中、何度も止まって、
パンツをあげようと思いました。
でも、カラダが泳ぐことをやめません。
記録会です。タイム命です。
25mのターンをする頃には、
もう完全に開きなおっていました。
結果は確か・・・2着か3着だったと思います。
そこのスイミングスクールは
2階に見学席があったので、
みんなの目にはボクのお尻は泳ぐ桃!
のように見えたことでしょう、多分。
でも、あのとき止まらなくてよかった、
泳ぎきってよかったとつくづく思います。
その必死さ(?)が通じたのか、
念願の選手コースにも昇格できました。
そして、憧れの選手コース用パンツ。
はじめて履いたときの、あのフィット感。
なぜか安心したのを覚えています。