リレーコラムについて

福岡にて

髙崎卓馬

正月に福岡の実家に帰った。
祖母にすこし痴呆が始まってた。
親父(彼女の息子)を殺人犯だと思い込んでしまっていたのだ。
何かのニュースで同じ名前の犯人がいたのが原因かも、と家族が言ってたけど。
でもまあうちの家族は全体としてたいしたもので
まあそれはそれとしてうけとめていた(うけながしていた)。
自分が受け流されている空気はなんとなくわかるみたいで
祖母は新しいターゲットの僕の顔をみると、
こっそりよびつけて
「たくちゃん、あのひとはどうして捕まってないの?」
と相談してきた。親父はもう否定も肯定もせずに外を見てた。
他の家族は満足いく答えをくれなかったからだろう。
あんまりしつこいんで僕は
「僕が保釈金だしたんだよ」と嘘をついた。
すると祖母の顔がほんとうに嬉しそうにほころんで
「ありがとうありがとう」ってすごく幸せなかおして喜んでくれた。
あんまり喜ぶので、なんか本当に親孝行したような錯覚を覚えた。
おれってなかなかいい息子じゃん。
機転のきいた答えもできるし。

でも、
5分もするとまた
「あのひとはどうして捕まってないの?」

ううむ。
みんなが受け流してる理由がわかった。

NO
年月日
名前
5854 2025.02.04 大塚久雄 これまた突然だが、
5853 2025.02.03 大塚久雄 突然だが、
5852 2025.01.31 鈴木拓磨 アイ・ドント・ノウ・ユー
5851 2025.01.30 鈴木拓磨 石に刻め
5850 2025.01.29 鈴木拓磨 名入れのペン
  • 年  月から   年  月まで