ハナウタ
鼻唄がうるさいとよく言われます。
すでに、鼻じゃないんでしょうね。
企画しながら鼻唄してると、
どっちかっていうとそちらに夢中になって
アルバム一枚分歌ってなんも進んでないよって、よくあります。
でもその鼻唄で、あやうく死にかけたことがあります。
いつものようにフフフンと気持ちよく歌いながら、
駅までの細い道をチャリでこいでたときのこと。
そんときわたしはちょうど中学生でユニコーン解散しちゃって悲しくって
「すばらしい日々」を熱唱する日々。
1番2番を歌い終え、ちょうど最後のサビにさしかかったとき、
一台のトラックがすごい勢いで通りかかりました。
あ、と思ったときには、巻いてたマフラーが、
トラックのサイドミラーに。
くるくるくるとゼンマイ方式、首はぐげげと絞めあげられ、
一瞬で息ができなくなった私の視界はだんだん暗くなっていき
あぁおかあさんごめんなさい先立つ不幸をおゆるしくださいって
薄れる意識の中。
首だけはまだ諦めてなかった。
最後のチカラでトラックと戦い、ブンと勢いよく振った刹那、
マフラーはひきちぎれました。
よかった。わたし生きてた。
さわってみると、首にはくっきり絞殺されたような跡。
鼻唄に夢中でトラックの音がきこえず、道の真ん中をフラついてたようでした。
企画もいのちもうばう鼻唄。
でもそのあまい蜜は、やっぱりやめられません。
ごめんなさい、まわりのひと。
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