恥コラム:少年
なんでオレって、街を散歩するのがこんなに好きなんだろ?
歩きながら目茶目茶ウキウキしてるわけじゃない。
でも家に帰ると胸の中にあたたかい気持ちがあって、
「ああ、今日は本当に楽しかったなあ」と思えるんだよなあ。
もしかしたら散歩してると、
意味もなく彼女と街を歩きつづけた
学生の頃の幸せな気持ちがよみがえるからかなあ。
学生時代は本当に楽しかったなあ。
コピーライターらしからぬチープな言い回しだけど、
輝いてたなあ。きらっきらっしてたなあ。
なーんにも考えてなくて、楽しい気持ちだけがあった。
最近、クリエーティブ塾の学生たちと遊ぶのが好きだけど、
社会性とか責任とか関係ない純粋に楽しい空気が、
やっぱりいつまでも好きなんだなあ。
そういえばオレって、普段から
社会人としてのきちんとした生活とかあまり意識してない。
遊びながら仕事してるような、仕事しながら遊んでるような、
なんだかごちゃごちゃ。
そういうスタイルなんだよな。
そっか、いま、はっきり確信した。
どうやってもオレって、大人になりきれないんだ。
仕事はきっちりやってるし、
大人な考えや振る舞いができる人間だと思う。
でも、年齢を重ねるにつれて誰もが無意識のうちに
上がっていく人生の、人格の成長のステップを、
全然上がれてないのかもしれない。
あっ、オレの胸の中に、
カラダを丸めて眠っている少年のオレが見える。
オレは永遠の少年(プププ)なんだ。
……と、クライアントに向かうタクシーで
「大人になれないオレ」話を後輩にしたら、
「わかってますよ、そんなこと。
今さら大発見のように言っている杉谷さんのほうがビックリですよ」
と言われた。
恥ずかしい30(後半)男の恥ずかしさ全開でお送りしているコラム!
最終回『失恋』まで突っ走る予定です。