恥コラム:恋文
「コピーライターならコピーライターらしく口説いてみてよね〜」
なんて、プライベートでコピーライターを持ち出されることほど
面倒なことはない。というか不愉快。
コピーライターだからっていつも気の効いた
トークができると思ったら大間違いだっ!
第一、コピーライティングはお仕事なんだから、
プライベートな時間にまでアタマ悩ませたくないっつーの!
でもね、ボクはコピーライターとして身につけた
ささやかな経験と技術を総動員して、
ひとりの女性の心を変えようと試みたことがある。
その女性は、元彼女だった。
ピリオドを打ったのはボクの方だったんだけど
その後も定期的に食事に行くなど信頼関係は続いていて、
「ひょっとして、また戻るべき二人なんじゃないか?」
なんてこっそり思ってた。
そんなある日、なんと彼女に好きな人ができた。
ボクはあわてた。自分でもびっくりするほど動揺した。(男ってバカだねー)
どうにかして彼女を取り戻さなければ!と必死になった。(ホント、バカバカ!!)
そうだ!今こそコピーライターの力を発揮しなくてどうする!
お前は何のためにコピーライターになったんだ!
たった一人の女性の気持ちすらつかめなくて何がコピーライターだ!
ボクはこぶしを振り上げ、無言で叫んだ。
そして、これはコピーライターという職業の存在意義が問われているのだと思った。
ま、勘違いだけど。
翌日から仕事をする間も惜しんで……じゃない、仕事の合間を縫って手紙を書いた。
何度も何度も書き直し、何日か冷静に眺め、また書き直した。
そして会議室にこもり、3枚の便箋に万年筆で一文字一文字清書した。
いや、ホントにこだわりぬいたのだよ。
なんたって、投函した後にどうしても書き直したいところが見つかり、
郵便局に回収に行っちゃったほどだからね。
実際、よく書けていたと思う。
複写した手紙を読み返すたびにボクの目頭は熱くなった。
これで彼女が心を動かされなかったら、
コピーライターなんて意味がないとすら思った。
……で、その結果は?
まるっきりダメ!戻ってきませんでした〜。
チャンチャン。
教訓。
「女性が一度他の男性に心を奪われたら、
取り戻そうとしたって絶対にムリ!」
なんだか恥ずかしいコラムを超えてイタすぎるコラムになってきた気もするけど、
もう一回書くべきか自問自答しつつ、明日へ!