思い出のピンナップ・ガール?
黒須治
思い出のピンナップ・ガール?
「日本のオトコはつまらない。」
パルコという商業施設は1973年にオープンしたわけですが、その一連の広告活動でそれまでの調和的なあるいは名人芸的な広告作法に燦然と異を唱えたADが、石岡暎子さんでした。
個人の意見を媒体を通して世間に出す、そうすることで広告は自立していく、強い力を持つ、という方法論。そうした激越なメッセージが世間に投げられていたころ、石岡さんの文章に出会いました。
「日本の男性は肩書きで生きている。課長とか部長であるということにしかアイデンティティがない。だからつまらない。たとえば肩書きをとって砂漠の真ん中にひとり裸でいても、魅力的なオトコであるかどうか。」という意味のことが書かれてあり、私はそれを切り取って長く目の前に貼っておりました。
当時独身でなおかつコピーライターという多少はもてそうな仕事に就いて、じつは有頂天だったのですが、でも自分は石岡さんの指摘にあるようなつまらないオトコではなくて、きっと魅力的な男になろうと決意のようなものをもったわけです。
いま思えば、“男社会”が前提だった日本産業社会の“背骨”の無さに対する石岡さんのメッセージともとれるのですが、以来この国にほんとの魅力をもったオトコが増えたかどうか。自分も、そのころ目指していたオトナになることができているのだろうか。やや厚い腹に触りながらも、うーん、まずまずかなとも思っているのですが。
(この項、以上)
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