阪急沿線淡路はいいとこです。
大阪の淡路という町に3年間住んでいました。
阪急電車の沿線で、新大阪駅の近くの下町です。
毎朝立ち寄る喫茶店があって、
僕はなぜかそこでアニキと呼ばれていました。
コーヒーとトーストとゆで卵がついて350円。
僕のためだけに一年中アイスコーヒーを
用意してくれるという点も気に入って、
ほぼ3年間その店のモーニングを食べながら
日刊スポーツを読むのを朝の日課にしていました。
午前中は近所の老人の社交場と化していて、
「コーヒーまだかいなあ」
「夕方までには出すから待っといてー」
「よかったなあ明日やなくて」
とかいうのんきな会話を毎朝聞いていました。
このあたりはちょっとガラの悪い地域でもあって、
ある朝商店街を歩いていると、
あきらかにそっち系の人ばかりが100人くらい
うようよしているということがありました。
それもVシネ系のわかりやすいそっち系の人たちです。
抗争でも起きているのかと興味津々で歩いていたら、
商店街の出口にカメラがあって
なんだ映画の撮影かと納得したのですが、
そのあとタクシーに乗ったら運ちゃんが、
「ヤクザ多かったでしょ。
あれ、留置所の中で絵を描いて有名になった
親分さんと淡路の親分さんが仲良しで、
ホンモノ集めて映画撮ってるらしいですよ」
と教えてくれて驚いたことがありました。
その頃僕は妻の思いつきで
「TCC年鑑にもう一回写真が載るまで
家の中でお酒を飲んじゃ駄目の刑」を受けていて、
なぜか24時間お酒を売っている
近所の自動販売機でビールを買って
公園のベンチで飲むのを夜の日課にしていたのですが、
真夜中にさかあがりの練習をする老人や、
毎晩公衆電話でお金の工面をするおじさんや、
真冬でもベンチでいちゃいちゃする高校生
なんかを肴にしながら、
寒くても外で飲むビールはおいしい
ということを覚えました。
この時期になると淡路の商店街では
上半身裸で走り回る子供とかが出現します。
夜中に上の階から聞こえてくる
あえぎ声も音量を上げます。
道行く子供とおばちゃんは、
東京とはくらべものにならないほど
いい顔をしています。
阪急電車沿線、淡路はいいとこです。
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